ドナルド・トランプ米大統領(72)を“事実上解任”しようする計画が昨年5月ごろに持ち上がっていたことを米主要メディアが21日、報じた。

 トランプ氏と対立関係にあるローゼンスタイン司法副長官が昨年5月ごろ、合衆国憲法修正25条に基づき、トランプ氏を事実上解任するため閣僚らの会合を開くことを画策していたという。この「修正25条」は、副大統領や閣僚らの過半数が大統領の職務遂行不能を議会に申し立てれば、副大統領が大統領職を遂行するなどと規定している。

 司法省やFBIの当局者との会合でローゼンスタイン氏は、トランプ氏の職務遂行不能を話し合う閣僚会合の開催や、政権内の混乱を明らかにするため、自らトランプ氏の会話を秘密裏に録音することも司法省高官らに提案。閣僚を集めるため、セッションズ司法長官やケリー国土安全保障長官(当時)を説得できると自信を示したとされ、発言内容は文書に記録が残っているという。

 ローゼンスタイン氏は2016年の大統領選挙をめぐり、トランプ陣営とロシアの間での共謀、いわゆる「ロシア疑惑」捜査を指揮するモラー特別検察官を監督する立場にある。解任に向けた動きがあった時期は、トランプ氏がロシア疑惑捜査を指揮していたコミー連邦捜査局(FBI)長官(当時)を解任した直後で、ローゼンスタイン氏はトランプ氏の対応を疑問視していた。ローゼンスタイン氏は「不正確で間違っている」と報道を否定するコメントを出した。

 捜査に不満を強めるトランプ氏はローゼンスタイン氏をたびたび非難しており、両氏の溝がますます深まりそうだ。