16日で引退する歌手・安室奈美恵(40)の引退ライブ(15日、沖縄県宜野湾市)をかたずをのんで見守っていたのは、ファンだけではなかった。沖縄県知事選(30日投開票)を戦う前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54=自民、公明、維新、希望推薦)とオール沖縄勢力が擁立した玉城デニー前衆院議員(58)の両陣営だ。

 米軍普天間飛行場の辺野古移設の是非が争点となっている知事選は、移設容認とみられる佐喜真氏と移設反対の玉城氏による事実上の一騎打ちで、連日、舌戦が繰り広げられている。

 8月8日に翁長雄志前県知事が死去した際、安室は公式ホームページで「沖縄の事を考え、沖縄の為に尽くしてこられた翁長知事のご遺志がこの先も受け継がれ、これからも多くの人に愛される沖縄であることを願っております」と追悼コメントを発表。翁長氏の意志を継ぐ玉城氏にしてみれば追い風で、佐喜真陣営にとってはラストライブのMCで再び“安室砲”が炸裂することを何よりも恐れていた。

 しかし、結果は「本当にありがとうございました」の感謝の言葉だけ。佐喜真陣営は安室の口から踏み込んだ政治的な発言が出なかったことにひと安心だ。

 ただ、これで終わったワケではない。「選挙は30日まで続く。安室さんは引退後、数日間は沖縄に滞在するとみられている。玉城陣営や移設反対派のマスコミが彼女を直撃して、自分たちに有利な発言を引き出そうとするかもしれない。油断はできない」(佐喜真陣営の関係者)

 玉城陣営にはライブ中に安室が客席に向かって叫んだ「騒げ、沖縄!」という言葉ですら「自分たちへのエール」と拡大解釈する者もいるようだが…。

 翁長氏の“弔い合戦”ムードで玉城氏有利とみられていた県知事選も、次第に両者の差は拮抗してきているという。やはり鍵を握るのは安室なのか…。