【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】タイでデング熱が猛威を振るっている。タイ保健省によると今年は先月27日までに感染者が全土で5万人を超え、うち65人が死亡した。昨年は1年間で感染者5万3000人、死者63人。今年は8月末時点ですでに昨年並みのレベルだ。これから感染者が急増する雨季の末期を迎えることから、パンデミック(感染爆発)も予想される。

 デング熱は蚊が媒介する感染症。ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなどがウイルスを持ち、刺されて感染する。熱帯や亜熱帯の病気だが、2014年には日本でも感染が確認された。

 1週間前後の潜伏期間を経て発症すると、40度前後の高熱が出る。猛烈な頭痛や筋肉痛、関節痛のほか、全身に発疹が出ることも。血小板の減少も見られ、鼻血や歯ぐきから血が出るなど出血しやすくなる。ちょっとした傷からでも大量出血の可能性がある。

 特効薬はなく、症状が治まるまで1~2週間かかり、ひたすら耐えるしかない。高熱が出たからといってバファリンなどアスピリン系の解熱鎮痛剤を飲むと、減少した血小板の機能を低下させてしまうので危険だ。多くの場合、安静にしていれば回復し、死亡率は1%以下。ただ、まれにデング出血熱へと進行すると、全身の粘膜から激しい出血が起こり、死に至る。デング出血熱の死亡率は40~50%と高い。

 タイでは今、首都バンコクだけでなく人気ビーチリゾートのプーケット島やクラビーでも大発生。地元紙「プーケット・ニュース」も「プーケットは現在タイで最もデング・リスクの高い県」と警告している。

 人口10万人あたりの現地感染者数は約93人で、タイ77県のうち断トツ。同紙によると、県が主導しているデング熱撲滅キャンペーンが浸透せず、地方の村では蚊の危険性を知らない人もおり、対策をしていないケースもあるという。

 何より大切なのは蚊に刺されないようにすること。旅行の際は暑くても長袖や長ズボンを着用し、蚊よけスプレーを使うべきだ。現地では薬局やコンビニなどで蚊が嫌うレモングラスの香りのものなど、さまざまなスプレーが売られている。媒介する蚊は水たまりでもすぐ繁殖する。空き缶や植木鉢にたまった雨水にも要注意。ホテルではべランダ周りをチェックしたほうがいい。

 現地在住日本人の間でもデング熱が流行している。バンコクのサミティヴェート病院やバンコク病院などには日本人スタッフや日本語通訳がおり、日本人相談窓口がある。タイ旅行を計画しているなら、医療機関の事前チェックを忘れずに。