金正恩の恫喝外交で友好ムード一変 米朝非核化協議延期の背景

2018年08月30日 17時00分

 朝鮮半島の非核化をめぐる米朝協議は、今週予定されていたポンペオ国務長官の訪朝が延期されるなど友好ムードから一転“決裂感”が漂い始めている。

 米メディアは、金正恩朝鮮労働党委員長の側近、金英哲統一戦線部長から「攻撃的な内容の書簡を受け取ったこと」が原因と伝えた。CNNテレビは「書簡は『非核化協議が危機的な状況で崩壊しかねない』と米国に警告する内容だった」と伝えた。

 ポンペオ長官は28日、国務省のナウアート報道官を通じ「金正恩委員長が北朝鮮を完全に非核化するというトランプ大統領との約束を実行する用意があると明確になれば、米国は関与する用意がある」と声明を発表。非核化に真剣な姿勢を見せるよう北朝鮮に求めた。

 日本の政府関係者は「正恩氏は米朝首脳会談後、全く非核化を進めていない。北朝鮮は来月9日の建国70周年を前に、このところの米国の姿勢を変えたかった。安倍政権内では北朝鮮側がトランプ政権に対し『非核化を進めさせたいなら、まず米国の経済援助が先だ!』と、恫喝外交した可能性が高い」と話す。

 また、米国のマティス国防長官も同日の会見で、来年行われる韓国との大規模な合同軍事演習を「中止する計画はない」と話した。トランプ大統領が米朝首脳会談で韓国との合同軍事演習の中止を決定したはずなのに、覆った形だ。こうした動きに米国内では「北朝鮮に対し譲歩が早過ぎた」との声も上がっている。

 今後の米朝協議の見通しについて、朝鮮半島情勢に詳しい関係者は「米国は、北朝鮮に韓国との米韓合同軍事演習を再開すると圧力をかけた。一方で、北朝鮮の態度次第で協議を続けることも示唆。北朝鮮は核兵器を手放すつもりなどさらさらない。米国は北朝鮮と協議が続けられない場合、従来の圧力を中心とした政策に戻すだろう」とみている。