北朝鮮で拘束された映像クリエーター「オリジナル映像欲しさ」の勇み足か

2018年08月29日 17時00分

 北朝鮮で今月上旬から拘束されていた映像クリエーターの杉本倫孝氏(39)が28日夜、中国・北京経由で日本に帰国した。

 杉本氏は欧州の旅行会社が企画したツアーを利用して、列車で北朝鮮入り。西部の南浦にある軍事施設を撮影したところ、北朝鮮当局に身柄を拘束された。朝鮮中央通信は「法に違反する罪を犯し、関係機関に摘発され調査を受けた」と詳細は伏せているが、スパイ容疑での摘発とみられる。

「北朝鮮は日本からは近くて遠い国だが、欧州を経由すれば簡単に入国できる。日本人は外貨をたくさん落としてくれると思われているため、旅行者1人にガイド1人が付くほど厚遇。ただ、撮影して良い場所とダメな場所があり、軍事施設はご法度。バレれば、直ちに通報される」とは半島事情に詳しい関係者。

 杉本氏はミュージックビデオや、自前の映像を音楽に合わせてつなぎ合わせるビデオジョッキー(VJ)として活動。とりわけVJはオリジナリティーが勝負だという。クラブ業界に詳しい人物は「VJは日々変わった映像を求め続けている。そこで目をつけたのが北朝鮮のナマの風景だったのだろう」と推測する。

 同氏は過去にも北朝鮮に渡航歴があるというが、一線を越えてしまったことはいただけない。北朝鮮は27日に「人道主義の原則に従って、寛大に許して国外に追放すると決めた」と、同氏を国外退去させたが、無論タダというわけではない。

 北朝鮮をめぐっては、ポンペオ米国務長官が27日に平壌を訪問予定だったが、トランプ大統領の「非核化が進展していない」という意を受けドタキャン。対北朝鮮で米国が再び強硬路線を敷くことも想定される。

 永田町関係者は「北朝鮮としては、米国と親密な日本との対話を再開させ、トランプ政権に『待った』をかけてもらいたい狙いがある。杉本氏の早期解放で、日本政府に“貸し”を1つ作った形だ」と指摘する。

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