タイ・極悪坊主の“宝クジ寺”外国人観光客も押し売り、ふっかけ被害

2018年08月02日 17時00分

ワット・ドイカムに何十人もいる宝くじ売り。善良な売り子はかわいそう

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】日本はサマージャンボ宝くじの季節(販売は3日まで)だが、タイでも宝くじは大人気だ。1枚80バーツ(約270円)で、1等賞金は600万バーツ(約2000万円)。平均年収が100万~150万円程度といわれるタイでは相当な大金だ。

 高額当せんのチャンスをつかむため、縁起を担ぐのは万国共通で、仏教国タイではお寺に祈る。「宝くじが当たる」と評判の寺院が各地にあり、実際に参拝して大金をゲットした人もいるとかで、噂が噂を呼んで参拝客がひっきりなしに押し寄せる寺もある。日本で言う、金運が上がる神社や寺のようなものだが、そのものズバリ「宝くじが当たる」と即物的なのがいかにもタイっぽい。

 そんな“宝くじ寺”の一つが、北部の古都チェンマイ郊外の小高い山の頂にあるワット・ドイカム。巨大な仏像や寝釈迦が鎮座し、お堂やほこらなどが無数に点在し、さながら“仏教テーマパーク”だ。創建は7世紀にさかのぼるといわれ、1300年の歴史を持つ古刹。山頂からの眺めは素晴らしく、ピクニックがてら訪れる地元民も多い。

 境内のあちこちにいる宝くじ売りには黒山の人だかりができ、数あるくじの中から「これぞ!」という番号を探している。購入後は寺に参拝し、当せんを祈願するという流れだ。

 ただ、あまりに人気になりすぎて、トラブルも多発。参拝客に宝くじを押し売りするやからが増えてしまったのだ。地元紙「チェンマイニュース」によれば、駐車場で参拝客の車を取り囲み、ドアを開けられないようにして強引に買わせるケースも。買うのを断ると、車を傷付けられた人もいるという。

 また、本来1枚80バーツなのに100バーツ、110バーツと値段を吹っ掛けて売る不届き者もおり、苦情が殺到。寺の評判を聞いて訪れた外国人観光客も同様の被害に遭っている。

 その背景にあるといわれるのが、寺側の悪質な搾取。宝くじの売り子から、1人あたり1日750バーツ(約2500円)の“ショバ代”を取っていたことが発覚したのだ。それで売り子たちは、やむなく金額を上乗せし客に売っていたという。だがこのスキャンダルに関し、警察は沈黙。地元では寺と警察の癒着が噂されている。

 タイの僧侶は日本よりはるかに真面目で、戒律を守り、国民から尊敬されまくる。ただ、寺には寄進が多く集まるため、汚職に走る坊さんも時々いる。麻薬やレイプでお縄となり、地元ワイドショーをにぎわす“生臭坊主”も。今年6月には、タイ僧侶界の権威ともいわれるサンガ最高評議会のメンバーが横領の末、国外逃亡を図り、ドイツで捕まった。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「おとなの青春旅行」(講談社現代新書)。

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