鉄道マニアが悲鳴! クリーム色を基調に窓の部分に赤い帯の入った国鉄特急色車両がついに全車解体されてしまった。長年親しまれていた国鉄特急色の車両は二度と見られない。

 このほど解体されたのは、都内の豊田車両センターに配属されている189系M51編成(6両)で、6月、長野総合車両センターの解体線に移動されていた。その後、順次解体が行われ、7月下旬には最後の一両となっていた先頭車(クハ189―10)が大型重機を使って解体された。これを受けて鉄道ファンの間から悲鳴が上がっている。国鉄時代の1975年に完成した特急形電車である189系は、マニアにとって特別なものだった。国鉄時代の面影を残していたことは言うまでもないが、マニアックな見方をすれば“通称・こだま型の特急車両”がその姿を消してしまったことになるのだ。

「こだま」は、国鉄で初めてとなる電車による在来線の有料特急(阪和線には、無料の特急電車が運行されていた時代もある)として東海道本線で運行を開始した。先頭車両は、高速運転における前面の視界を良好にするため運転台を高い位置に設置した流線形スタイルのボンネット型となっていた。1958年11月1日から東海道本線東京~大阪・神戸間を結ぶビジネス特急として運用された。

 都内在住の50代男性会社員は「ついに来るべき日が来てしまったという感じです。国鉄特急色車両は、子供のころからよく乗っていました。小学校高学年のころ、鉄道趣味を始めてから、土日や夏休みになると写真を撮りに行ったものです。風景にもマッチしますし、本当に味のある車両でした。今どきのステンレスやアルミカーにはない趣があります。せめて先頭車だけでも保存してほしかったのですが、とても残念です」と語る。