スーパーカブで世界最速目指せ 50ccエンジンにかけた中小企業の夢

2018年07月20日 17時00分

近兼氏(手前右)らSMC関係者

 映画監督であり元プロライダーの近兼拓史氏(56)が、米ソルトレークシティーで来月開催されるオートバイスピード競技会「ボンネビル・モーターサイクル・スピード・トライアルズ」に挑戦する。しかも改造した原付きバイクで出るという。原付きでの世界最速の記録を打ち立てようという注目のプロジェクト「SUPER MINIMUM CHALLENGE(SMC)」を立ち上げ、19日に都内で会見した。

 現在、50ccの世界記録は2008年に同競技会で「アプリリア」(2ストローク・ターボチャージャー付き)が達成した時速233・3キロだ。今回、SMCは普通なら45キロ出すのがやっとのホンダ「スーパーカブ」を“超改造”して記録を超すことを目指す。

 なぜ今、記録を目指すのか? それは排ガス規制によって、数年以内に50cc車がなくなる可能性があるからだ。

「50ccの絶対的世界記録が永久にアプリリアのものとして残ってしまう。日本が世界一であってほしい」(近兼氏)

 SMCは中小企業が30社近く参加して、持てる技術をすべてカブにぶちこむ。

 会場は夏場の気温50度を超える過酷な高地だ。16キロの直線コースを走り、瞬間最大速度ではなく1マイル(1・6キロ)の平均速度で認定する。速さと耐久性も要求される。

 同競技会に今年は125cc車をベースにした試作機で出走する。データを取って、来年の“本番”に50cc車で出場を狙う。本番までに体重を12キロ落とそうとしている近兼氏は「できるだけ幅が狭いほうが空気抵抗が減る。鎖骨を取っていいのか、医者に相談した」が、「意味がない」と言われてあきらめたそうだ。

 カブは4ストロークで、2ストロークより不利と言われている。「日本のものづくりの素晴らしさが若いかたに伝わってほしい」とSMCのメンバーらは考えている。日本を支えるおじさんと中小企業の挑戦が始まる。SMCを支えるスポンサーも募集中だ。