「縄文遺跡群」で観光客呼べるのか 手放しで喜べない世界遺産自治体

2018年07月20日 17時00分

 国の文化審議会は19日、2020年の世界文化遺産の登録を目指す候補として「北海道・北東北の縄文遺跡群」(北海道、青森、岩手、秋田の3県)を選んだ。

 縄文遺跡群は、大規模集落跡がある青森市の「三内丸山遺跡」や、大小の石を円形に配列した秋田県鹿角市の「大湯環状列石」など17の遺跡で構成。文化審議会委員らは記者会見で、選定理由を「農耕以前の人類の生活や祭祀(さいし)、儀礼を物語る資産で、人類史としての価値がある」と説明した。

 ただし、国連教育科学文化機関(ユネスコ)への推薦枠は、20年登録の審査から1国1件に制限される。同年には「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」(鹿児島、沖縄両県)も自然遺産登録を目指しており、政府は来年2月1日の推薦書提出までに候補を調整する。

 世界遺産に登録されれば多くの観光客が駆けつけるため、観光業界関係者もその効果に期待を寄せる。関係自治体にとっても喜ばしい状況かと思いきや、そうともいえない現状があるようだ。

「関西へのインバウンドが好調とあって観光客も多いですが、07年登録の石見銀山は効果が薄れていると聞く。これだけ国内に世界遺産が増えると珍しさもなくなってしまう」とは、04年に世界文化遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」を抱える自治体関係者。

 そもそも、世界遺産条約の目的とは、文化遺産と自然遺産を保護し、保存するために国際的な協力および援助の態勢を確立することにある。

「世界遺産は保護のための仕組みであって、安易に観光客を誘致するものではない。観光地化はむしろ破壊につながる対極にあるものです」と同関係者。

 手放しで喜ぶわけにはいかないようだ。