西日本豪雨 甚大な被害招いたのは危機管理不足か

2018年07月09日 17時30分

 活発な梅雨前線による西日本豪雨で、被害の大きい中国・四国地方などでは8日、自衛隊などが救助活動や安否不明者の捜索を続けた。気象庁は、各地に出していた大雨の特別警報を全て解除したが、引き続き土砂災害や河川氾濫への警戒を呼び掛けた。死者88人、安否不明者50人以上など被害が大きくなったことについて、専門家は今回の対応の遅れが一因になったのではと指摘する。

 政府は8日、非常災害対策本部を設置。安倍晋三首相は「救命救助や避難の誘導に全力で当たってもらいたい」と指示した。

 岡山県倉敷市真備町地区では、川の堤防が決壊し、地区の約3割が浸水。病院や建物の屋上などに1000人以上が一時取り残され、ヘリコプターやボートで助け出し、同日午後までに大半の救助が完了した。国土交通省はポンプ車を使って同地区の排水作業を始めた。

 この日も各地で死者を確認。広島県熊野町によると、同町川角5丁目の住宅地で土砂崩れに巻き込まれて12人が安否不明になり、うち1人とみられる遺体が見つかった。福山市では、ため池の決壊で家屋ごと水に流された3歳の女児が遺体で見つかり、東広島市や呉市でも犠牲者が相次いだ。

 同日午後の時点で、20府県の避難所に計3万250人が身を寄せており、被害の拡大も懸念される。元東京消防庁消防官で防災アナリストの金子富夫氏(顔写真)は「(大雨)特別警報が終わっても、山の水はこれからあふれ出す可能性が十分にある。山や扇状地には大雨の水が大量に含まれている。河川氾濫には引き続き気をつけるべき」と引き続き警戒を呼び掛ける。

 さらに、被害が広がったことに「気象庁は数日前から豪雨災害への予告をしていた。で、あるならば、同時に会見を開いてさらなる危機が迫っていることをしつこいくらいアナウンスするべき。大規模災害が発生してから会見しているのは、体裁のためとしか言えない」と気象庁の対応へも不満を漏らす。さらに、「東京23区の人口に匹敵する規模で避難指示を出している。国交省、総務省の副大臣クラスが前線で指示してもいいと思う。すべて自治体任せです。被害が大きくなったのは、危機管理の欠如が招いた結果だと厳しく指摘したい」と政府官邸の動きにも苦言を呈した。

 死者安否不明者が多数となった今回の豪雨。生死を分ける判断として「屋内にいる場合、木造は危険。RCやSRCなどの耐火造建物なら1階は浸水しても、水流で流されることはないだろう。2~3階に逃げて。一般論ですが、これに尽きる」と指摘。屋外にいた場合は「水がヒザ下なら歩ける。しかし、腰より上は危険です。水が濁っている場合は、マンホールの蓋が開いているのを視認できずに吸い込まれることも。自動車もタイヤの車軸を水が越えていたらダメ。ブレーキが利かない。漏電する。それなのに車は平気で走っている。通常の概念を捨てよう。『大丈夫だ』と思ったらいけない」と警鐘を鳴らす。

 梅雨明けしている東日本だが、今後、同様の被害に遭う恐れはあるのか。「同じような大雨が起こりえる。都内は江東区、墨田区、北区、葛飾区などで災害の素質がある。ただ、東京は治水がしっかりしているので、水害はよほどじゃなければ起きない。だが、油断はできない。逃げるとすれば高いところ。高層ビルでもよいでしょう。地下鉄の構内にいるのは危ない。そんなの分かっているよと思っていても、いざというときに行動できるか、頭で“予習”してほしい」と促した。