【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】タイ・バンコク屈指の歓楽街ソイ・カウボーイでさる4月、60代の英国人旅行者が急死した。そこは100メートルほどの路地の左右に30軒余りのゴーゴーバーが立ち並び、日本人には「ソイカ」と呼ばれる人気ナイトスポット。アジア人はもちろん欧米人の夜遊び客も多く、ゴーゴー嬢相手に鼻の下を伸ばす姿をよく見る。

 現場に居合わせた目撃者によると、その英国人はバーのステージ最前列を陣取り、下着姿で踊るゴーゴー嬢を見上げていたところ、突然倒れたのだという。

「他のお客と同じように座っていたのに、いきなり頭から床に倒れこんだの。ずっと楽しそうにしてたんだけど…」

 すぐに従業員やゴーゴー嬢が駆け寄ったが、英国人はその場で息を引き取ったという。病院での検視結果は心臓発作だったが、その原因までは分かっていない。遺体は在バンコク英国大使館が引き取り、無言の帰国となった。

「もしかするとED治療薬や勃起薬の過剰摂取が原因かも」とはバンコク在住記者。自身もよくED治療薬を飲んでから夜遊びに出掛けるそうで、こう警告する。

「バイアグラなどは動悸やめまい、頭痛などの副作用が出ることがある。心臓に負担をかける薬なので、循環器系の持病がある人は服用には注意が必要。ただ、せっかくのタイ旅行だと張り切りすぎて多めに飲んでしまう人も。すると今回のようなことになりかねない」

 ソイカがあるスクンビット通りでは、怪しげな精力剤やED治療薬を売る屋台をよく見掛ける。同記者いわく「バイアグラやシアリス、カマグラなど種類豊富だが、中には偽物も交じっているという噂。きちんとした薬局で買うか、日本で用意したほうがやはり安全」とのこと。

 報道こそされていないが、実はソイカでは昨年11月にも、バンコクに住む50代の日本人男性が心不全で亡くなった。

 またソイカと並ぶゴーゴーバー街として知られるナナプラザでも昨年10月、40代の日本人男性が腹部大動脈瘤破裂で倒れた。病院に担ぎ込まれ一命は取り留めたが、高額な手術費用は海外旅行保険だけではカバーできず、自腹で数十万円払ったという。

「もともと高血圧で、動脈硬化が進み大動脈瘤が形成されていたところ、ED治療薬により血流が刺激され、破裂に至ったのでは」と知人は推測する。ただ腹部大動脈瘤破裂の死亡率は80%超とも言われ、助かっただけでも奇跡的だ。

 タイのゴーゴーバー遊びは年齢に関係なく楽しめるが、ハッスルし過ぎにはくれぐれも注意を。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、4年前に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「海外暮らし最強ナビ・アジア編」(辰巳出版)。