金正恩に米朝首脳会談リスク 外遊先での暗殺と留守中のクーデター

2018年06月08日 17時00分

米朝会談の舞台となるカペラホテル(ロイター)

 12日の米朝首脳会談を前に、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の周辺が騒がしい。国内クーデターに加え、外遊先での暗殺危機への恐怖でいっぱいだという。

 北朝鮮では米朝会談を控え、軍部で大幅な人事異動が行われた。人民武力相が朴永植氏から努光鉄氏、総参謀長が李明秀から李永吉氏、総政治局長が金正角氏から金秀吉氏へと交代になった。さらに人民軍の9つある軍団のうち、6人の軍団長も交代したという。

 拓殖大学主任研究員で元韓国国防省北朝鮮分析官の高永テツ氏は「人民武力相は米国なら国防総省長官、総政治局長は日本でいう防衛相、軍総参謀長は自衛隊の統合幕僚長に相当する軍のトップ3。加えて軍団長も更迭するのは異例の事態です。表向きは米朝会談を前に平和、経済路線にかじを切ったとのアピールに映るが、金正恩が(米朝首脳会談で)シンガポールに出かけている最中にクーデターが起きるのを防ぐために実力者を替え、軍部の力をそぐ狙いでしょう」と指摘する。

 軍のトップ3を入れ替えたとしても、正恩氏の非核化路線には軍部内に反発があり、留守中にクーデターが起きてもおかしくない状況だという。

 また、首脳会談が行われるシンガポールでは北朝鮮の先遣隊がホテル周辺で厳戒態勢を敷き、暗殺やテロを警戒している。正恩氏はこれまで米国の暗殺対象に挙がっていたが、首脳会談を舞台に手を出せる状況ではないハズだが…。

 高氏は「動きがあるとすればイスラエルの情報機関モサドでしょう。北朝鮮はイスラエルと敵対関係にあるシリアにミサイルや化学兵器、原子炉などを提供する同盟国。イスラエルにとって金正恩、北朝鮮は憎き相手。米国の意向と関係なく、何をするか分からない怖さがある」と話す。韓国の反北右派勢力も暗殺を企てている可能性がある。

 体制維持のために米国との対話路線を選んだハズの正恩氏だが、クーデターに暗殺と、リスクは付きまとう。「行くも地獄、帰るも地獄」の米朝首脳会談となりそうだ。