これも北朝鮮流の揺さぶりなのか…。12日にシンガポールで開催予定の米朝首脳会談で、北朝鮮側が金正恩朝鮮労働党委員長らの宿泊ホテル費用を他国に負担するよう求めているという。

 北朝鮮筋によると、国際社会の厳しい制裁により外貨が不足しているため、代表団の宿泊費が“払えない”という。そのくせ、正恩氏が宿泊先に指定したのは、同国5つ星の「フラトンホテル」。それも最高級客室の「プレジデンシャルスイート」というから、開いた口がふさがらない。同部屋は1泊6000ドル(約65万円)だ。

 とはいえ、要求を拒否してヘソを曲げられたら元も子もない。米国は費用を全額負担するか、開催国であるシンガポールに負担を要請するか検討に入った。

 さらに昨年のノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)からも「朝鮮半島の平和と核兵器のない世界」に向け、賞金の中から正恩氏の宿泊費を出すとの申し出があったという。

 ネット上では「ずうずうしいにも程がある」「どんだけ金ないんだ」とあきれる声が続出しているが、いくら北朝鮮が困窮しているからといって、65万円すら払えないはずがない。半島情勢に詳しいライターの話。

「米朝首脳会談を有利に進めるための、駆け引きの一環ですよ。正恩氏に言わせれば『あくまで自分は主賓なんだ』ということでしょう」

 トランプ米大統領は別の5つ星ホテル「シャングリラ」に宿泊する予定。部屋のグレードまでは明らかにされていないが、正恩氏の部屋よりは安いとみられる。

「正恩氏にしてみれば『勝った!』となる。最近、北朝鮮国内で正恩氏の求心力が低下しているという情報もあるので、国内向けに偉大さをアピールする狙いがあるのかもしれません」(同)

 宿泊先ひとつでここまでもめるのだから、会談は期待薄かもしれない。