拉致議連幹事長を務める松原仁議員が米朝首脳会議に緊急提言

2018年06月05日 08時00分

松原仁氏

 北朝鮮による日本人拉致問題に長年携わり、拉致議連幹事長を務める松原仁衆院議員(61=無所属)が緊急提言だ。一時は漂流の危機にあった米朝首脳会談は、当初の予定通り12日にシンガポールでの開催で調整されている。それに先立つ7日には、安倍晋三首相がトランプ米大統領と会談を行う。もちろん主題は、北朝鮮の完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)だが、見通せないのが日本人拉致問題だろう。本当に議題に上り、解決の糸口を見いだせるのか。北朝鮮と対峙してきた松原氏がその攻略のカギを明かした。

 ――米朝会談で拉致問題は本当に取り上げられるのか

 松原氏:安倍首相も事あるごとに日本の立場を説明しているし、昨年9月と今年4月には家族会や救う会、拉致議連のメンバーが訪米して政府関係者に要請している。さすがに取り上げるだろう。

 ――良い感触があった?

 松原氏:拉致議連が会った中でも、トランプ大統領から信頼されている(国家安全保障会議の)ポッティンジャー・アジア上級部長は好感触だった。海兵隊出身で「一人残らず仲間を救い出すという日本人は正しい。トランプに言っておく!」と明言している。

 ――取り上げるだけで終わるという懸念は

 松原氏:それは大いにある。「拉致は重要な問題だ」とだけ言ってあっさり終わったりね。トランプ大統領が「本気で取り組む」というのは日本向けのプロパガンダという可能性も捨てきれない。ただ、あんまり下手な形で終わったら、安倍首相にもダメージがあるから。第一、米国の問題でもある。

 ――というと

 松原氏:米国人大学生のオットー・ワームビアさんが2016年に北朝鮮に拘束されました。昨年解放されたが、昏睡状態に陥り、その後亡くなった。これは日本人の拉致問題にも通じる大きな人権問題だからね。

 ――米朝会談でトランプ大統領に望むことは

 松原氏:2点ある。「経済制裁解除の条件には、核・ミサイルだけではなく拉致問題もある」「拉致問題の解決は、拉致被害者家族会が納得しない限りあり得ない」と明言してほしい。後者についてはアーミテージ元国務副長官も言っていることだ。

 ――北朝鮮メディアは拉致問題は解決済みと日本を批判しているが

 松原氏:北朝鮮にとっては「おはようございます」というあいさつみたいなもの。そこから交渉が始まる。故金正日総書記だって、解決済みと言っておきながら、出してきたでしょう。

 ――北朝鮮を交渉のテーブルにつかせるには

 松原氏:彼らをいかに本気にさせるかがポイント。一つの案としては、拉致問題に携わってきた中山恭子参院議員を今回の交渉団のメンバーに加えるべき。拉致問題担当特使などしかるべきポジションを与えてね。

 ――どういうことか

 松原氏:中山議員は拉致被害者家族に常に寄り添ってきたので信頼されている。北朝鮮にとってみれば、中山議員を説得すればいいということなる。かつて私も野田内閣で拉致問題担当大臣になった時、北朝鮮は慌てたようにいろいろなルートからコンタクトしてきた。それは私も長年拉致問題をやってきたから彼らは焦ったのだ。

 ――今回の米朝会談に北朝鮮が本気になったのも、トランプ大統領が軍事攻撃をチラつかせたから

 松原氏:そう。北朝鮮は圧力を背景にした時以外出てこない。かつてブッシュ政権時代、北朝鮮はイラン、イラクと並んで「悪の枢軸」と名指しされたことがあった。それが拉致被害者の一部解放につながった。今回も金正恩委員長はトランプ大統領にビビッた。

 ――そういう意味では最大のチャンス

 松原氏:それは間違いない。拉致問題は日本のすべての問題に関わる。解決しなければならない。