インドネシア・東ジャワ州の州都スラバヤで、前代未聞の“家族ぐるみテロ”が連続5件発生、これまでにテロ犯側の13人を含む計25人が死亡した。暴挙に及んだ3家族の犯行目的とは――。

 最初の6人家族は13日朝、日曜のミサに集まるキリスト教徒を狙った3つの教会への同時多発テロ(本紙既報)。同日午後9時ごろ、今度はスラバヤ南部シドアルジョ地区の低所得者層向けアパートで爆発が発生。5階部分が吹っ飛び、2人が死に、1人が警官に射殺された。現場の部屋に住んでいたのは6人家族で、手製爆弾を製造する最中の“誤爆”だったとみられる。

 そして翌14日朝には、スラバヤ警察本部の入り口ゲート付近で、爆弾を積んだバイクが爆発し、これまでに10人が負傷。防犯カメラには、バイク2台に分乗した男たちが、セキュリティーチェックを受けるフリをし速度を緩め、警官たちが近付いた瞬間爆裂する様子が映っていた。バイクには小さな子供とみられる姿も確認でき、警察発表によると彼らは5人家族で、4人が死亡した。

 ジャカルタ在住記者は「共同体の友人や知人、あるいは同じモスクに通う仲間、兄弟でテロを敢行した例はたくさんある。だが母親や娘まで含めた家族で、というのは聞いたことない」。教会テロ一家の父親は、イスラム国(IS)の流れを汲む過激派組織JAD(ジャマ・アンシャルト・ダウラ)の「セル(細胞)」のリーダーだったと言われる。この家族は「シリアに行ったことがある」と周囲に話していたという。

 また、インドネシア国家警察のティト長官は14日の記者会見で、3家族について「(それぞれが)一つのネットワークでつながっていた」と明らかにした。

“シリア帰り”のテロリスト予備軍がインドネシア国内には数百人潜伏していると言われ、3家族はシリアで出会い、意気投合したとの見方も出ている。