北朝鮮の核実験場廃棄式典で日本排除の裏

2018年05月14日 17時30分

 北朝鮮は北東部農渓里の核実験場を廃棄する式典を、23~25日の間に気象条件を考慮したうえで実施する。北朝鮮外務省が12日に発表している。核実験場のすべての坑道を爆破して崩落させ、入り口を完全閉鎖。地上の設備や施設を撤去して警備員や研究者を撤収させ、周辺を完全に閉鎖するという。

 6月12日にシンガポールで行われる史上初の米朝首脳会談を前に、非核化の意思をアピールして、会談成功への環境を整える狙いがあるとみられる。トランプ米大統領はツイッターで「賢明な意思表示だ」と歓迎。韓国大統領府の報道官は13日、「坑道を爆破するダイナマイトの音が、核なき朝鮮半島への旅程への最初の祝砲になることを願う」とおおげさな表現で賛同の意を示した。

 廃棄現場の取材は中国、ロシア、米国、英国、韓国のメディアに許可される。北朝鮮は核実験場の広さをふまえて、メディアを限定するとしている。日本メディアから取材を除外されていることについて、大統領府関係者は「日本とは公式対話が成立していないことも関係しているのでは」と見る。

 ここで問題になるのは、この「廃棄」が本当に行われるのかという点だ。米紙ワシントン・ポストは12日までに、最新の衛星写真の分析に基づき、豊渓里の核実験場で小さな建物が複数撤去されたと報じた。

 だが、自衛隊関係者は「カリアゲ(金正恩朝鮮労働党委員長)が最近おとなしくて気持ち悪い。核廃棄もうのみにできない。爆破させたとして、実験が終わったと結論づけるわけにはいかない」とする。

 北朝鮮ウオッチャーは「日本の政府もメディアも、北朝鮮の動向には常に懐疑的な姿勢だ。取材が許可されたとしても、日本メディアは『廃棄した』とそのまま報じることはない。北朝鮮には、日本を招待したとしても無駄だという考えがあると思う」と指摘した。