大阪・西成区の“ちょんの間”料亭街「飛田新地」で1月、料亭2軒と酒店1軒が入る木造2階建ての建物が焼けた火災で、大阪府警は9日、放火の疑いで守口市の会社員・北野充茂容疑者(53)を逮捕した。

 府警によると、北野容疑者は1月5日、飛田新地にある料亭に侵入し、火をつけた疑い。現場付近には火の気がなく、はしごが残されていたことから、防犯カメラを解析したところ、バイクにはしごを乗せて走る同容疑者が浮上。調べに対し「2階から侵入し、放火したことに間違いない」と容疑を認めているという。

 火元の料亭は、解体作業が始まったところで、隣の料亭と酒店はすでに解体され、駐車場になっていた。出火当時の様子について近隣住民は「火元の料亭は休みやったけど、隣は営業していた。そこの女の子が『何か焦げ臭いな。魚でも焼いとんやろか!?』と話していた。隣を見たら黒い煙が出ていて爆竹みたいな音が鳴ってた。消火器で消そうとしたけど手遅れやった」と振り返る。

 周辺ではもともと放火が多いといい、火元となった料亭では昨年もボヤ騒ぎがあったという。「ボヤの後、料亭の横にある路地の入り口に、扉をつけて入られへんようにした。その路地から男が出てきて、バイクで走って行くのを見たっていう女の子がいて、当時から『放火やろな』って噂になってた。火事が続いたもんやから、店の関係者が警察に疑われてたみたいやけど」(前同)

 同業者によると、この料亭では「3人の女性が接客に当たっていた」。トラブルらしい話を耳にしたことはないというが、別の同業者は「みんなライバルやから、あんまりそういう話は漏れてこない。でも、こんな商売やし、客が女の子とモメるなんてしょっちゅうよ。ウチもよく植木鉢ひっくり返されたりする。放火はあり得へんけどね」。北野容疑者はこの料亭に客として通っていたという。府警は動機や余罪について調べている。