スマホで支払いが当たり前の中国 ハードル高い外国人にも代行サービス

2018年05月10日 17時00分

深センでは街の商店街でもスマホ決済用のQRコードがある

【アツいアジアから旬ネエタ直送「亜細亜スポーツ」】キャッシュレス化が急速に進む中国では、QRコードをスマホで読み取り、金額を入力して支払うのがいまや当たり前。この決済サービスの2大勢力、アリペイ(支付宝)とウィチャットペイ(微信支付)のQRコードは、中国の至る所で見かける。

 人口13・8億の実に98%が電子決済を利用しているといわれ、その市場規模は一昨年時点で38・5兆元(現レートで約664兆円)に達した。これは米国の電子決済額の約50倍。大衆食堂や屋台、出前、街角の果物売りなどにも普及し、なんと空き缶ではなく、QRコードを掲げる物乞いまでいる。

 その背景にはニセ札の横行があり、中国では現金が全く歓迎されないという事情がある。ただ、まだ現金が通用するエリアも。香港の隣、広東省の深センは、電子決済が特に進んだサイバーシティーとして知られるが、路線バスでも地下鉄でも現金が使え、券売機も現金用がある。コンビニなどでも同様だ。

 もちろん、地元住民の大半はスマホで決済しているが、現金払いでも文句は言われない。ストリートミュージシャンはQRコードのほか、現金でチップをもらうための箱も置いている。それでもやはり、電子決済が圧倒的に便利なのは言うまでもない。

 例えば、中国の大都市にはどこにでも置いてある「モバイク」などのシェア自転車。自転車につけられたQRコードを読み取るとロックが解除され、支払いはスマホ決済。どこでも乗り捨て自由で、料金は30分間で0・5~1元(約8~17円)と格安。市民の身近な足として定着した。

 スマホの配車アプリで呼ぶタクシーも電子決済。また夜の世界でも広く使われており“中国風俗の王道”であるサウナの中には、電子決済で手付金を払わないと予約を受け付けない店もある。

 ただ、外国人がアリペイやウィチャットペイを使うのは、ハードルが少し高い。中国の銀行口座を開設する必要があるからだ。中国で就労している証明がないと口座を開けない銀行が多く、また中国でのケータイ番号も求められる。そこで最近では、電子決済のアカウントを開設する代行サービスを行う日本企業も現れ、中国出張や駐在の多い会社には必須の存在となっている。

 スマホ一つで何でもできてしまう中国人のスマホ依存は、日本人の想像をはるかに超えている。日常生活で便利なのは間違いないが、生活パターンや趣味嗜好といった個人情報がダダ漏れになるという指摘もあるし、そもそもスマホをなくしたらとんでもないことになる。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、4年前に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「海外暮らし最強ナビ・アジア編」(辰巳出版)。