イタリア代表や数々の強豪クラブを率い、中国でも指揮した名将マルチェロ・リッピ氏(74)が大国の中国サッカーが強くなれない理由をズバリ指摘した。

 世界的名将のリッピ氏は2012年から中国1部広州恒大(現広州FC)を率いた後、中国代表の監督に引き抜かれて年俸1800万ポンド(当時約27億円)の破格の報酬も話題になった。

 そんなリッピ氏が、イタリア紙「コリエレデラセラ」のインタビューで中国サッカーについて直言した。

 まず中国の習近平国家主席と対面した際のエピソードを披露。「彼はサッカーをとても愛していた。我々(広州恒大)が中国の歴史で初めてアジアチャンピオンズリーグ(ACL)に勝ったので、到着とともに狂気のように喜んでいた。彼は私に祝辞とあいさつをしてくれた。その後に彼は私に代表チームでの指揮を望んだ。我々はかなりうまくいった」と蜜月関係で中国サッカーの強化に成功したと胸を張った。

 ただ、リッピ氏が中国サッカー界を離れてからはリーグは破綻危機を迎え、代表チームも弱体化の一途を辿っている。

「なぜ巨人がサッカーでは継続した強化ができないのか」と問われたリッピ氏は「そこには文化的な事情がある。男の子は卓球など他のスポーツをするんだ」と指摘。中国では身体能力が高い子どもたちが卓球など人気のある他競技に流れてしまい、なかなか育成がうまくいかないというわけだ。

「巨大なスポーツセンターを建設して96ものフィールドを持っているクラブもある。だが、今ではすべてが以前と同じように見える」と施設こそ充実しているが強化は思うように進まず、現在は昔のレベルに逆戻りしていると分析した。

 中国サッカー界は根本的な問題をどのように解決するのか。