スペイン1部バルセロナの〝本拠地アウェー化問題〟が波紋を広げている。

 バルセロナは14日に行われた欧州リーグ(EL)準々決勝第2戦で本拠地カンプノウにEフランクフルト(ドイツ)を迎えたが、2─3と敗れて、2戦合計3─4で無念の敗退となった。

 この試合で問題視されたのが、バルセロナの本拠地にEフランクフルトのサポーターが大挙押し寄せた異常事態。米スポーツ専門放送局「ESPN」などによると、欧州サッカー連盟(UEFA)の規定によりアウェーのファンのために5000枚のチケットが割り当てられていたが、スタジアムの収容人数の半分近い約3万人のEフランクフルトのサポーターが駆けつけた。

 熱狂的なサポーターを有するバルセロナの本拠地で起きた前代未聞の事態に、ジョアン・ラポルタ会長が謝罪するなど波紋を広げているが、背景として名門クラブの大失態が浮上している。

 スペインメディア「ミオトラリーガ」が今回の顛末をこう報じた。

「多くのバルセロナファンがチケットをドイツのファンに転売し、スタジアムを占拠してしまった。その多くが、バルセロナからの協力を得て行われたものだった。最も恥ずべきことは、クラブがスタジアムを満員にしたいがために、シーズンチケットの保有者に『スタジアムに行けないなら、席を譲ってほしい』と頼んだのだ」とクラブ側が観戦に行く予定のないシーズンチケット保有者に転売を〝推奨〟したというのだ。バルセロナは自クラブのサポーターへの転売を想定していたが、売れなかったためEフランクフルト側に多くのチケットが渡ってしまったというわけだ。

 さらに「スタジアムを満員にする目標は成功させたが、バルサを応援する人たちで満席になるのではなく、その逆となった。取締役会もこの行為を許可し、他のファンに席を売ることを奨励するメッセージを送った。自国の法令で禁止されているにもかかわらず」と指摘。スペインでも他国と同様に転売は原則禁止となっており、バルセロナによる〝転売疑惑〟は物議を醸している。

 財政難ゆえに手段を選ばずチケットの売却を優先した結果招いた失態。法律に抵触していれば警察当局が動く可能性もあり、名門を揺るがす大スキャンダルに発展するかもしれない。