まさかの怪行動だ。欧州サッカー連盟(UEFA)は23日、2028年と32年の欧州選手権の開催意思表明を締め切り、英国4協会とアイルランドの共催とトルコ、イタリアが招致に乗り出した中、ウクライナに侵攻し、世界から非難されているロシアが立候補の意思を表明したと発表。大きな波紋が広がっている。

 ロシアについてはUEFAと国際サッカー連盟(FIFA)が主催大会の出場禁止を決定。同国クラブは欧州大会から除外され、ロシア代表もW杯欧州予選プレーオフから排除。11月開催のカタールW杯出場が完全消滅した中、驚きの招致に乗り出した。英紙「ガーディアン」も「ロシアが欧州選手権の開催に予期せぬ関心を示した」と伝えている。

 サッカーをはじめ各スポーツ競技から締め出されているロシアがあえて28年と32年のビッグトーナメント招致に乗り出したのは孤立化を防ぎ、世界とのつながりを保つためと見られているが、英紙「デーリー・メール」は「ロシアは国際試合の禁止にもかかわらず欧州選手権を開催するという野望を諦めていなかった」と報じている。

 また「ガーディアン」は「ロシアの宣言は(UEFAに)挑発と解釈される可能性が高い」と指摘。その上で「UEFAはスポーツ制裁がロシアに対して行われる可能性があると主張している」と報道。すでに同国クラブや代表の出場禁止の処分に加え、招致を断念させるためロシアサッカー連合の資格停止など、さらなる制裁強化が検討されるという。

 W杯に匹敵する盛り上がりを見せる欧州選手権の開催地は4、5月に招致を表明した各団体の条件などを精査した上で来年9月に決定する予定だが、ロシアの“参戦”で招致レースが大混乱するのは間違いなさそうだ。