スペイン1部バルセロナのジョアン・ラポルタ会長が財政再建に自信をみなぎらせたが、支援が噂される巨大投資ファンドには賛否が渦巻いている。

 ラポルタ会長はイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティーから獲得したFWフェラン・トーレスの入団会見に出席。現在クラブは深刻な財政難にあえいでいるが、今後の補強の見通しについて「人件費の余裕をつくるため、来季の陣容を構築するために動いている。強化部門は偉大なチームを構築するために尽力し続けている。うまくいけば、すべてが可能となるはずだ」と名門復活へ大きな手応えを口にした。

 自信の裏にあるのが、有名投資ファンドの存在だ。バルセロナ昨年7月に米金融大手ゴールドマンサックスに5億2500万ユーロ(約680億円)の融資を申請したが、さらに最近ルクセンブルクを本拠とするCVCキャピタル・パートナーズからの支援も取りざたされている。

 しかし、CVCを巡ってはスポーツ界でさまざまな摩擦を生んでいる。昨年スペインリーグが27億ユーロ(約3500億円)の資金調達を行うことで契約したが、各クラブの放映権の約11%が50年間にわたってクラブの同意なしに搾取されるため〝奴隷契約〟として波紋を呼び、スペインサッカー連盟が反対を表明する異例の事態に発展。

 また、同ファンドは長年F1の大株主だったが、多くの国で地上波で無料放映されていたレースの放映権を有料放送局へ次々と売却。短期的な増収は果たしたが、結果的にテレビ視聴者数が急減し、それによってスポンサー企業の広告価値が激減。そのため大手スポンサーが撤退し、F1チームのスポンサー収入減を招いた。

 さらに中東などを対象に開催権料を天文学的数値にまで引き上げ、欧州の伝統的なサーキットを破産に追い込むなど、急進的な手法に批判が集まっている。

 こうした経緯から、ラポルタ会長にも同ファンドからの支援に関する質問が飛んだが「CVCファンドによる運営はまだ考慮していない。それが必ずしも必要というわけではなく、収入が必要なだけだ」と明言を避けた。

 名門復活の救世主となるのか、それとも…。