東京五輪に出場するフランス代表が選手の招集を巡って大混乱に陥っている。

 フランスサッカー連盟(FFF)は25日に東京五輪代表メンバー18人を発表したが、このリストの中にクラブ側の承認を得ていない選手が多数含まれていることが判明した。

 フランス紙「レキップ」などによると、今夏の移籍市場でスペイン1部レアル・マドリードなどビッグクラブが争奪戦を展開しているMFエドゥアルド・カマビンガ(18=レンヌ)はメンバー入りしているが、クラブの会長が招集を拒否する方針。今季12ゴールをマークしたFWアミーヌ・グイリ(21=ニース)を巡っては、クラブのジュリアン・フルニエSDがフランス放送局「RMC」に対して「彼は招集されたが東京には行かない。行かせるつもりもない。以前からニースの選手は誰も五輪には行かないと言ってきた。今回の発表は不快で驚いた」と激怒し、招集拒否の方針を宣言している。

 五輪には選手招集の拘束力はなく、あくまでクラブ側の協力のうえで招集が可能となる。そのためクラブの主力選手や移籍が絡む選手は多くのクラブが招集を拒否する方針をFFFに伝えていたが、フランスの東京五輪代表を率いるシルバン・リポル監督がクラブ側の意向を無視してメンバー発表を〝強行〟したというわけだ。

 FFFの勝手な行動に各クラブは不信感を強めており、今後態度を一層硬化させて招集の協力に応じない動きが広まる可能性もある。優勝候補の一角とみられたフランスが早くもチーム崩壊状態で、1次リーグで対戦する森保ジャパンにとっては追い風となりそうだ。