2018年ロシアW杯を制し、欧州選手権(11日開幕)で優勝候補筆頭のフランス代表が、内紛の兆しを見せている。

 フランスメディア「RMCスポーツ」によると、キッカケは3―0で勝利した8日の国際親善試合ブルガリア戦。途中出場で2ゴールを挙げたFWオリビエ・ジルー(34=チェルシー)が「僕にパスを出さない選手がいる」とチームメートへの不満を口にしたことで、FWキリアン・エムバペ(22=パリ・サンジェルマン)が激怒。自ら会見を開いて主張しようとしたが、フランス代表のディディエ・デシャン監督(52)はそれを却下した。

 チーム内の雰囲気が悪化する中、ジルーは10日のトレーニング中にエムバペに対するコメントでなかったと本人に釈明したが、わだかまりは消えていない。エムバペはジルーに対する敵意を持ったままだ。

 不穏な空気を察知した指揮官は、エムバペとジルーそれぞれに声をかけ、チーム全体に対しても「たとえコミュニケーションのミスがあったとしても、次のステップに進む必要がある」と語ったというが、2人の関係がさらに悪化すれば、優勝を目指すどころではなくなるだろう。

 10年南アフリカW杯では、FWニコラ・アネルカがレイモン・ドメネク監督に暴言を吐いて大会中にチームを追放されるなど、内部崩壊を起こし、1次リーグ敗退した。

 過去の悪夢がよみがえる危険な兆候を見せるフランス代表は、ドイツ、ハンガリー、ポルトガルとの〝死の組〟に放り込まれた1次リーグを突破できるのか。