スペイン1部ヘタフェの日本代表MF久保建英(19)が来季に保有元のレアル・マドリードへ復帰する機運が高まっている。今季の低迷が響き、Rマドリード側は移籍金が〝底値〟の今夏は売却しない見通し。ただ、レンタル先で失敗続きのため期限付き移籍も難しい。そこで名門は手元に置いて成長を促そうというわけだが、Bチーム暮らしが長引けば今年以上の屈辱を味わう可能性もある。

 久保は9日のエイバル戦でも出番なしで低迷脱却の糸口は見えない。今夏の去就が注目されており、現地では売却も取りざたされている。ただ、欧州組の選手を担当する代理人は「今の成績では買いたたかれるだろうから、今年の夏のタイミングで売ることはないのでは」と指摘。移籍金の評価額の急落に加え、Rマドリードでは久保の才能を認める意見も根強いため現時点で放出の可能性は低そうだ。

 これまで同様に期限付き移籍が基本線となるが、これが簡単ではない。Rマドリード側は久保のレンタル料や移籍先に求める年俸負担を高く設定しており、新型コロナウイルス禍で財政事情が厳しい中小クラブは手を出しづらい。しかも今季は異なるタイプの2チームでいずれも結果を出せず獲得に動くクラブは減るだろう。逆に、資金力のある強豪では再び出場機会を得られない失敗を繰り返す公算が大きい。

 そこでスペインではRマドリード復帰への機運が高まっている。スペイン紙「アス」はFWビニシウス(20)がスペイン国籍を取得する見込みとなり、EU圏外枠が空くため久保が復帰候補になると報じた。ただ、復帰したからといっていきなりトップチームで出場機会を得るのは困難。そこで浮上するのがBチーム行きだ。

 同国メディア「フットボールアジアエスパーニャ」はBチームでのプレーを提言。「ラウル監督のもとでプレーしつつ、昇格してトップチームのリーグ戦やカップ戦に出場できるチャンスがある。他クラブに行ってベンチでシーズンを過ごすよりもいいのでは」

 Rマドリードでは今季Bチームから多くの有望株がトップチームに昇格しており、久保も安定して出場機会を得ながら昇格のチャンスを待つべきという主張だ。Rマドリードで活躍するには意外と近道になりそうだが、問題はBチームへの〝格落ち〟を許容できるかどうか。いつまでもトップチームに昇格できなければ、今年以上の屈辱を味わう可能性もある。

 久保とRマドリードは最終的にどんな結論を出すのか。今後も去就問題が注目を集めることになりそうだ。