セルビア1部パルチザンのアレクサンダル・スタノイビッチ監督(47)が、突如退団を表明した日本代表FW浅野拓磨(26)に寄り添う姿勢を見せた。

 浅野はクラブ側の給与の未払いなどを理由に自身のSNSでシーズン途中での退団を表明。すぐさまパルチザン側は浅野の主張を事実無根として国際サッカー連盟(FIFA)に提訴する構えを見せた。現地メディアによると、クラブ側が300万ユーロ(約5億円)を要求し、法廷闘争が2年ほどかかるとの見通しとなるなど泥沼化が予想されている。

 そんな中、セルビア紙「テレグラフ」が、スタノイビッチ監督の元教え子に対するコメントを伝えた。まだシーズンが残っている状況での退団に「彼が去ってしまったのは大きなショックだった。選手たちもがっかりしているのを理解できるし、浅野がどれだけチームメートに愛されていたかを知っている。チーム全体で彼の不在をカバーしなければならない」と語った。

 身勝手な行動として元チームメートから批判の声が上がっているが、指揮官は「起きたことはよくないが、彼を悪く言うことはできない。彼は私たちと話す機会があり、クラブに警告書を出すこともできたが、そうしなかった。それは残念だ。日本では電車が遅延して駅長が自殺したくなるくらいの責任を負うと聞いた。文化、人間はそれぞれ違うことを理解しなければならない」と非難の言葉を出さなかった。

 指揮官の言葉からは、浅野とクラブ双方がもう少し歩み寄りを見せていれば、結果は違っていたかもしれないことがにじみ出たが、すでに〝後の祭り〟となってしまった。