日本代表のエースMF南野拓実(26=サウサンプトン)は今夏の移籍市場で〝意外な決断〟を下すのだろうか。森保ジャパンはカタールW杯アジア2次予選モンゴル戦(30日、フクアリ)で14―0と爆勝。南野も先制ゴールで存在感を示した。代表とクラブで活躍が続く中で、強豪クラブが続々と獲得へ立候補。既定路線だった名門リバプール(イングランド)への復帰をあえて選ばない可能性も出てきた。


 これぞエースの働きだ。日本は立ち上がりから地力に勝る相手にチャンスをつくりながら決めきれずにいたが、前半13分に南野が左足で強烈なシュートを突き刺して先制に成功した。自身の持つW杯予選開幕からの連続試合得点記録を5試合に伸ばし、W杯予選の連続試合得点もMF本田圭佑(34=ネフチ・バクー)の7試合に次ぐ2番目に浮上した。

 南野の記録ずくめの一発がチームに一気に流れを呼び込んで、日本代表のW杯予選最多得点記録となる14得点のゴールラッシュをもたらした。今年初の代表活動で強烈な存在感を放った南野は、クラブでも上り調子だ。

 2月にリバプールから期限付き移籍でサウサンプトンに加入すると、新天地デビューのニューカッスル戦でゴール。さらに強豪チェルシーを相手に奪った鮮烈ゴールによってインパクトを残し、欧州で評価が急上昇している。スペイン1部の強豪セビリアが獲得に本腰を入れるほか、以前から高い評価を受けているドイツでも、古巣ザルツブルクと同じ大手飲料メーカー「レッドブル」が運営するライプチヒや、日本代表で同僚のMF鎌田大地(24)やMF長谷部誠(37)が所属するEフランクフルトなどが関心を寄せている。

 それでも南野は期限付き移籍を終えて今季復帰する予定のリバプールでの活躍を目指してきたが、にわかに状況が変わってきた。リバプールは今季不振を極めており、現在7位に低迷。このままでは欧州チャンピオンズリーグ(CL)の来季出場権を失うことになるが、これが南野の選択を大きく左右する。CLは選手の評価を大きく上げる重要な舞台。ザルツブルク時代にリバプール戦で大活躍するなどCLに強い南野にとって、脂の乗り切った今、出場できないのは大きなマイナスになる。

 南野の新天地候補となる強豪クラブはいずれも来季のCL出場が有望視されており、その舞台を求めて南野がリバプールを離れる決断をしてもおかしくない。こうした背景から英移籍専門メディア「フォーフォートゥー」も「南野の道を無理に(リバプールの)クロップ(監督)の計画に押し込むことはしないだろう」と指摘している。

 南野は今回の代表活動中に「選手にとって試合に出ることが重要だと感じている」と語っている。自らが最も輝ける場所としてどんな環境を選ぶのか注目が集まる。