【ブラジル・ブラジリア26日(日本時間27日)発】サッカーW杯ブラジル大会1次リーグG組のポルトガルはガーナに2―1で勝って勝ち点を4としたが、得失点差で及ばず同組3位で敗退が決まった。FWクリスチアーノ・ロナウド(29=レアル・マドリード)は今大会初ゴールを挙げたものの、3大会連続の16強入りにはあと一歩届かず。昨年度のFIFA年間最優秀選手(バロンドール)は最後までピッチで笑顔を見せることなく、大会を去る。

 晴れ渡った空を見上げたのも一瞬、ポルトガルの背番号7は悲しげに視線を落とした。目の前の相手には勝った。得点も決めた。だが、一番の望みはかなわなかった。1か月前、欧州サッカー最高峰の舞台・欧州チャンピオンズリーグ決勝でビッグイヤー(優勝カップ)を掲げた時に見せた最高の笑顔はなく、ブラジルの地では憔悴しきっていた。

 2戦目の米国戦の後半アディショナルタイムに起死回生の同点アシストを見せ、何とか最終戦に望みをつないだ。シーズン中から痛めていた左ヒザは限界寸前だったが、責任感を見せるC・ロナウドは強行出場を続けた。ただ勝つだけではダメ。最低でも4点以上の大量得点での勝利がブラジルに残る条件だった。

 チームの気持ちはまとまっていた。前半からガーナの守備陣にプレッシャーをかけ続け、ゴールに迫った。C・ロナウドの動きも3戦のなかでは一番良かった。5分にいきなりクロスバー直撃のシュートを放ち、12分には直接FKで枠を捉えた。19分には右クロスから右足シュート。だが、いずれもガーナGKダウダ(29)の好守に遭ってゴールネットを揺らすことができなかった。

 31分にようやく先制点が入った。DFベロゾ(28)のクロスをガーナDFボイエ(27)がクリアミスしてオウンゴール。ラッキーな形でリードを奪ったポルトガルはその後も攻勢を強めた。

 だが、後半12分に誤算が生じた。右サイドを破られ、ガーナのエースFWジャン(28)のヘディング弾を浴びて失点。この時点で他会場のドイツ―米国戦は1―0でドイツがリード。ポルトガルはあと4点が必要な状況に引き戻された。

 そこからの猛攻は、ほとんどC・ロナウドにボールを集めた。チャンスは訪れるが、ガーナ守備陣の懸命の粘りの前にシュート態勢にすら持ち込めない。そんななか、35分にようやく今大会初ゴール。ダウダのパンチングが足元にこぼれてきたところを左足で難なく決めた。だが、残り10分で3点が必要とあって、エースに笑顔はなかった。

 そこからはガーナの運動量が減り、ポルトガルの一方的な展開。C・ロナウドにもチャンスが巡ってきたが、38分のシュートはダウダに阻まれた。後半アディショナルタイム2分の左足シュートは枠を捉えきれず、1分後のシュートも相手の守護神にキャッチされた。MFモウティーニョ(27)のミドルシュートがゴールを大きく外した直後、敗退を告げるホイッスルが鳴らされた。

 決勝点のC・ロナウドはマン・オブ・ザ・マッチに選出された。ただ、奪った1つのゴールを喜ぶよりも、再三あった決定機を外したことを悔やんだ。大会前、W杯優勝の夢を語ったエースは「バロンドールの呪い」を解くことなく静かにピッチを去っていった。