〝日本の至宝〟が今夏に放出される可能性が出てきた。スペイン1部ヘタフェに所属する日本代表MF久保建英(19)の保有権を持つ同国1部レアル・マドリードは来年夏に向けてフランス1部パリ・サンジェルマンのフランス代表FWキリアン・エムバペ(22)の獲得を検討中だ。新型コロナウイルス禍の中、推定1億8000万ユーロ(約230億4000万円)の移籍金を捻出するために久保を売却するプランが浮上している。

 Rマドリードは今夏に2018年ロシアW杯でフランス代表を優勝に導いたエムバペの獲得に乗り出すと、各メディアで報じられている。世界屈指のストライカーで本人は22年6月末の契約満了を前に〝白い巨人〟へ興味を示しており、特に尊敬する元フランス代表MFのジネディーヌ・ジダン監督(48)とは相思相愛と言われている。

 ただ、そこで問題となるのは資金面だ。エムバペの獲得に向けて移籍金だけでも最低1億8000万ユーロとされており〝世界でもっともリッチなクラブ〟と言えども、簡単に捻出できる金額ではない。新スタジアム建設にも多額の費用を投じている中、昨季から続く新型コロナウイルス感染拡大による影響は大きく、チームの売り上げも激減しているからだ。

 実際に、Rマドリードは昨オフにコロンビア代表MFハメス・ロドリゲス(29)を2200万ポンド(約30億円)でイングランド・プレミアリーグのエバートン(イングランド)に放出し、モロッコ代表DFアフラク・ハミキ(22)を4000万ユーロ(約55億2000万円)でイタリア1部インテルに売却。人員整理で100億円超の収入を得ながらも、ビッグネームの獲得は見送った。

 今夏にエムバペら大型補強を行うには、資金調達が欠かせないわけだが、そこで浮上するのは久保ら選手の売却だ。スペイン紙「アス」は、今オフのRマドリードの動向について「この危機において、資金面の問題を緩和するために売却に注力するだろう」と報じているように、出番が少ない選手や他クラブへ武者修行に出ている選手たちが放出候補になるという。

 公認資格を持つ選手代理人でカズこと元日本代表FW三浦知良(53=横浜FC)を担当した田路雅朗氏(65)は「久保の場合、そうなる(放出)可能性は高い。高額な選手の移籍は、どのクラブも手を出しずらい。確実に資金を得るには買い手が付く若手ってことになる。久保ならレアルの看板代込みで(移籍金で)3000万ユーロ(約38億1000万円)にはなるだろう」と指摘した。

 久保はビリャレアルで出番が激減したことで1月に移籍。ただ新天地のヘタフェでも2試合連続のベンチと定位置をつかめていないように、現状ではRマドリードに即戦力として復帰するには明らかに物足りない。しかも3つしか枠がないEU圏外選手ということもあって、来季のチーム編成次第では久保も他クラブに売却される可能性もあるわけだ。

 ヘタフェでも活躍できず評価を落としている中、今夏の去就が注目されそうだ。