名門への〝帰還〟はあるのか。スペイン1部ヘタフェの日本代表MF久保建英(19)が来季のレアル・マドリード復帰を果たせるかの岐路に立っている。ヘタフェで結果を出すことが絶対条件だが、それだけですんなり道が開けるわけではない。世界有数のビッグクラブならではの外的要因に左右される可能性もあり、まだまだ先行きは不透明。レアルが久保を呼び戻すための2つのポイントとは――。


 久保はRマドリードのクラブ首脳陣から将来性を高く評価されており、今季残り試合で結果を残せば、来季の復帰が基本方針となりつつある。問題となっていたEU圏外枠についても、3枠のうちブラジル代表のFWビニシウス(20)とDFエデル・ミリトン(23)は、今季伸び悩んでいる現状やクラブの財政難から放出要員となっており、空席ができる見込みだ。

 ただ、欧州事情に詳しい代理人は「レアルは今年も南米から有望株を取ってくるだろうから、どんな逸材をいくらで入れるかにもよる。そっち優先で枠を使うことも考えられる」と語るように、Rマドリードは毎年のように南米の若手を引き抜いている。今夏も獲得候補としてFWマルコス・レオナルド(17)、FWカイオ・ジョルジ(19=ともにサントス)、FWガブリエル・ベロン(18)、MFガブリエル・メニーノ(20=ともにパルメイラス)などブラジルの至宝をリストアップ。

 いずれも移籍金が数十億円規模となる超逸材のため、レンタルに出さず即戦力として起用する可能性もあり、EU圏外枠が再び埋まるケースもあり得る。

 一方で、枠の問題がクリアになったとしても復帰の〝確定〟には至らないという。前出の代理人は、さらなる条件をこう指摘した。「レアルは、まず監督問題が決着しないとチームの方針が定まらない。いくらクラブの上層部が久保を買っていたとしても、現場の監督の意向は無視できないし、その人の考え方でいくらでも状況は変わる」

 Rマドリードは今季の優勝争いで苦戦を強いられており、試合内容の低調もありジネディーヌ・ジダン監督(48)の今季限りでの退任が既定路線となっている。

 後任候補はドイツ1部ライプチヒのユリアン・ナーゲルスマン監督(33)やイタリア1部ユベントスなどを率いたマッシミリアーノ・アッレグリ氏(53)、アルゼンチン1部リバープレートのマルセロ・ガリャルド監督(45)、内部昇格でBチームのラウル・ゴンザレス監督(43)などが乱立。それぞれ特色が異なるだけに、指揮官の好みによって久保の命運も左右されるわけだ。

〝白い巨人〟復帰へは、こうした要因を超越する強烈なインパクトが必要。ヘタフェで残されたアピールの時間は決して多くはない。