ポルトガル1部ポルティモネンセは8日、ベルギー1部シントトロイデンから韓国代表MF李昇祐(イ・スンウ=23)を期限付きで獲得したと発表した。同クラブでは2019年夏から日本代表DF安西幸輝(25)がプレーし、過去にはMF中島翔哉(26=アルアイン)、FW金崎夢生(31=名古屋)、GK権田修一(31=清水)ら日本人選手も所属。J1浦和でも大活躍したロブソン・ポンテ氏(44)がテクニカルディレクターを務めていることもあり、アジア勢の獲得に積極的なクラブとして知られる。

 ただ、今回の補強は大きなギャンブル要素で満ちあふれている。バルセロナの下部組織で育ったこともあって〝韓国のメッシ〟とも呼ばれる李は2017年夏、バルセロナBから当時イタリア1部ベローナに移籍。19年夏にシントトロイデンに渡った。優れた足元の技術を武器にした得点力の高いアタッカーだが、精神面での未熟さを露呈することも多いのが難点だった。

 ベローナではチームスタイルとの違いに苦しみ、結果が出ない日々を送った。監督やチームメートと衝突することもしばしば。シントトロイデンでは背番号10を任されたにもかかわらず、監督やコーチと意見が合わずに〝干される〟ことも少なくなかった。事実、今回の移籍直前までシントトロイデンで9試合連続でベンチ外だったことも無関係ではないだろう。

 昨年10月のリーグ戦では敗色濃厚の試合終了間際に相手選手ともみ合い、相手の胸に顔をうずめるような〝奇行〟を見せた。その様子を相手選手が試合後、SNSに投稿すると、今度は韓国メディアがコメント欄の一部を取り上げ「人種差別議論に発展」と仰々しく報道。ベルギー国内だけでなく、欧州でも「何かと面倒な選手」というレッテルが貼られた。

 個人技が生かしやすいポルトガルへの移籍は李のスタイルにマッチする可能性も高い。だが今回、ポルティモネンセには李だけでなく元日本代表MF本田圭佑(34)もブラジル1部ボタフォゴから加入。年齢差は一回りほど違うが〝アクの強い〟2人が交わることを不安視する向きは多い。

 もちろん、自身を「変わり者」と表現する本田と気が合って、チームにとてつもないパワーをもたらす可能性も否定はできない。

 ポルティモネンセに待っているのは輝かしい未来か、それともカオスなのか――。