“日本の至宝”こと日本代表MF久保建英(19)がスペイン1部ビリャレアルを退団することが決定的となり、同1部ヘタフェへの移籍に向けて交渉が最終局面を迎えている。4日の移籍市場の開幕とともにスピード決着となりそうだが、なぜ久保サイドはヘタフェを新天地候補に選んだのか。

 ヘタフェはフィジカルを前面に押し出した守備的な戦術が特徴で、一見すると久保のようなタイプには合わないが、欧州事情に詳しい代理人はこう指摘する。「残り半年の前提ですぐに結果を出さなければいけない状況なら、監督や選手でよく知る人物がいたほうがいい。その点、ヘタフェにはFWクチョ(エルナンデス=21)がいるのが大きい」

 ヘタフェで現在攻撃陣の中心となっているクチョは、昨季マジョルカで久保と同僚だった。2人は息の合った連係プレーで“KuCu(クク)コンビ”の愛称もつけられるほどの盟友。コロンビア人のクチョが公用語とするスペイン語は久保も堪能なためスムーズなコミュニケーションができる上に、年齢も近く公私で信頼関係を築いている。クチョも昨季終了後に久保のことを「本当に素晴らしい選手だし、意識も高い。僕らがいいコンビだったと人々の記憶に永遠に残ると思うよ」と熱っぽく語っていた。

 シーズン途中となる冬の移籍では新天地の環境やチームの戦術に順応するまでにどうしても時間を要することが不安となるが、スペインで出会った盟友の存在が心強い味方になるというわけ。名コンビの再結成が、“至宝復活”への足掛かりとなりそうだ。