イングランド・プレミアリーグ、リバプールの日本代表MF南野拓実(25)が、チーム内で厳しい状況に直面している。世界屈指の強豪チームでなかなか出場機会を得られず、序列は下がる一方。今冬の移籍市場での放出までも取りざたされている中、どうすべきなのか。本紙評論家で元日本代表の前園真聖氏(47)が見解を語った。

【前園真聖・ゾノの焦点!】冬の移籍市場を前に南野の動向が注目を集めています。

 日本代表では11月のオーストリア遠征でもゴールを決めたように安定して素晴らしいパフォーマンスを発揮する一方で、クラブでは思うように出場機会をつかめていません。リーグ戦では、まだゴールもなく、プレシーズン(コミュニティーシールドのアーセナル戦)での1点だけですよね。やはり攻撃的な選手に求められるのは、ゴールやアシストといった目に見える結果です。クラブとしては2年、3年と待ってくれるわけではありません。厳しい状況ではあると思います。

 ただ、だからといってすぐに移籍を考えるべきなのでしょうか。リバプールは今、世界ナンバーワンと言えるクラブです。そこには非常に素晴らしい選手たちが揃っています。攻撃陣を見ても、エジプト代表FWモハメド・サラー(28)、セネガル代表FWサディオ・マネ(28)、ブラジル代表FWロベルト・フィルミノ(29)という世界最高の3トップに、今季はポルトガル代表FWディオゴ・ジョッタ(24)が加わりました。

 そうした豪華メンバーの中で試合に出るのは非常に難しいことは間違いありませんが、たとえ出場機会が少なくても毎日そうしたメンバーと練習でしのぎを削ることは大変大きな成長につながります。何より、モチベーションを非常に高いレベルで保てると思います。選手にとって、日々どのようなモチベーションで過ごせるかは大変重要です。

 厳しいサバイバルの中でも、徐々にリバプールのサッカーには慣れてきていますし、ユルゲン・クロップ監督(53)の考えも理解してきているように思えます。周りとのコンビネーションも良い形で出てきています。

 あとは今季の残り試合でどこまでやれるか、少ないチャンスで明確な結果を出せるか。強い気持ちを持って頑張ってもらいたいです。

(元日本代表MF)