スペイン1部ビリャレアルで日本代表MF久保建英(19)と年下ライバルとの〝起用論争〟が沸き起こっている。久保は2日のバリャドリード戦で公式戦4試合ぶりに先発落ちし後半19分から途中出場。パスミスでピンチを招き、GKとの1対1を外すなど精彩を欠いた。レギュラー争いで再び劣勢が予想されるが、さらに久保を苦境に追い込みそうなのがMFジェレミー・ピノ(18)だ。

 10月29日の欧州リーグ(EL)カラバフ(アゼルバイジャン)戦で同点弾を決め逆転勝利の原動力に。ウナイ・エメリ監督(49)も「ジェレミーは非常によかった」と絶賛した。久保にとってまた一人ライバルの登場となるが、このピノが他の選手と異なるのは〝ビリャレアルの至宝〟という点だ。

 ピノはBチーム(3部)所属だが、タレント揃いのスペインの年代別代表で活躍。スペイン1部バルセロナや同アトレチコ・マドリード、イタリア1部ユベントスなどビッグクラブが獲得を狙う超逸材で、クラブにとって下部組織から育て上げた生え抜きのスター候補だ。

 欧州事情に詳しい代理人は一般論として「下から育てたタレントはクラブの宝。特に中堅クラブは先々を考えて〝売る〟ことを見据えるし、実力が同等ならそちらを優先して価値を上げるのはよくあること」と指摘。クラブ事情から重用される可能性があるのだ。

 実際にビリャレアルは長期契約と数十億円規模の高額な移籍金を設定する方針。スペインではファンから「クボよりジェレミーのほうが優れている」との声や、スペイン紙「アス」が「ジェレミーはクボやサム(チュクウェゼ)と争うつもりだ」とシ烈なサバイバルをあおるなど起用を巡る論争が勃発している。1歳年下の超新星が久保の今後を左右しそうだ。