スペイン1部ビリャレアルの日本代表MF久保建英(19)はレギュラーの座を奪えるのか。森保ジャパンのオランダ遠征を終え、所属クラブでの戦いが再開した。18日のバレンシア戦では6試合連続のベンチスタート。途中出場して後半24分の決勝ゴールをアシストしたが、イエローカード2枚でまさかのプロ初退場処分に…。代表でもクラブでもレギュラー争いで劣勢を強いられる中で、本紙評論家の元日本代表MF前園真聖氏(46)はサバイバルを勝ち抜くために2つのポイントを指摘した。

 現状の久保は、代表でもクラブでもレギュラー奪取には至っていない。森保ジャパンのオランダ遠征では初戦のカメルーン戦(9日)でベストメンバーがスタメン起用されたが、久保は途中出場。次のコートジボワール戦(13日)は大幅に入れ替わって1年4か月ぶりに先発出場したものの、ノーゴールでインパクトを与えられなかった。

 久保の起用に関して、代表でもクラブでも共通する問題点の一つがポジションだ。久保は本来は中央のトップ下を得意とするが、昨季所属したマジョルカや今季のビリャレアル、森保ジャパンでも右サイドでの起用が多い。18日のバレンシア戦でも右サイドで出場。さらに、代表のコートジボワール戦では左サイドで先発し、ビリャレアルのエメリ監督も「全てのポジションで勝負できるように成長しなければならない。左サイドはさらなる成長が必要だ」と強調するなど、新たな選択肢も浮上してきた。

 前園氏は久保に最も適したポジションとして「一番合うのはトップ下だと思います。彼はワンタッチで局面を打開でき、ラインの間を抜けるのもうまく、視野の広さもあります」と分析。さらに「左利きなので、カットインする動きなども考えると、右サイドもいいと思います」と得意のドリブル突破を生かすために右サイドにも適性があると指摘する。

 その上で「やはりクラブチームでのプレーがベースになります。マジョルカでも最初はベンチスタートでしたが、レギュラーになり結果を残しました。彼はそうやってきたし、それだけのことをできる選手です」。中央と右サイドで辛抱強くアピールを続けることがレギュラー取りへの最短の道というわけだ。

 さらには「セットプレーのキックの質は非常に精度が高いです。代表では蹴れる選手があまりいないので貴重ですし、日本にとって大きな武器になるはずです」。途中出場したカメルーン戦では試合終了間際に強烈FKで見せ場をつくったが、すでに森保ジャパンでも屈指のキッカーとして期待を寄せる。FKは一発で試合の局面を変えられるだけに、出場機会が少ないビリャレアルでもインパクトを残すための大きな武器となるだろう。

“日本の至宝”は長所を伸ばして激しいサバイバルを勝ち抜けるか、勝負どころが続く。