〝至宝〟久保建英の意識を変化させた2つの理由

2020年09月29日 06時15分

バルセロナ戦で途中出場した久保建英(ロイター)

 スペイン2年目となる日本代表MF久保建英(19)に見られる〝進化の兆し〟とは――。スペイン1部の強豪ビリャレアルに加入した久保は3試合連続のベンチスタートで、スタメン奪取には至っていない。それでも元日本代表FW武田修宏氏(53=本紙評論家)は、限られたプレー時間の中で欧州で成功するために必要な意識の変化が生じていると指摘した。

 久保はかつて下部組織に所属した〝古巣〟バルセロナ戦(27日)の後半29分から出場。得点こそなかったものの、左足で鋭いシュートを放つなどゴールへの強い意欲を見せるプレーが目立った。

 リーグ開幕から3試合連続で途中出場となったが、順調にプレー時間を延ばしており、ウナイ・エメリ監督(48)も「タケは全ての試合で貢献してくれている。どのポジションでもプレー可能で右サイドは非常に快適にプレーする。とてもうまくプレーしている」と高い評価を与えた。

 強豪でのシ烈なサバイバルの中でレギュラーを奪取すべく、久保にある変化が出ている。武田氏はこう指摘する。

「久保はもともと頭の良い選手で、FC東京時代から『どうしたら試合に出られるか』を常に考えていたと聞く。その点で、今は味方へのパス出しをする〝パサー〟から、得点を取って結果を出そうという意識が強い〝ストライカー〟にプレースタイルが変わってきているね」。攻撃面で万能な久保だが、スペインで2年目を迎えた今季は特にゴールに強くこだわる姿勢が鮮明になっているというのだ。

 久保の意識の変化には、2つの理由があると武田氏は続ける。「岡崎(慎司=34、ウエスカ)にしても武藤(嘉紀=28、エイバル)にしても『どうすれば試合に出られるのか』を突き詰めて結果を出していったと聞いた。自分で考え、試行錯誤しながらね。自分を表現しようと変わっている」

 岡崎はドイツ、イングランドと環境が変わる中で前線からの守備を長所としてアピールし、武藤はドイツに渡った際に持ち前の裏への抜け出しに加え、ボールを受ける際の足元の技術を意識して結果を出していった。新たな環境に適応するための意識改革こそが欧州で成功する条件で、久保にとってはゴールへの貪欲な姿勢となるわけだ。

 さらに「バルセロナのFWアンス・ファティが2ゴールを決めたでしょ。年下でもすごい選手が出てくる。それは刺激になるはずだよ」。〝驚異の17歳〟と世界から注目のファティが2ゴールを決めた姿を目の当たりにしたことが、久保の闘志をかき立てゴールの重要性を再認識するきっかけになるという。

 覚醒しつつある〝至宝〟が、待望の移籍後初ゴールを決め、スタメンの座を奪取する。