世界中が注目するアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(33)のスペイン1部バルセロナ退団騒動は、名門に大打撃を与えそうだ。退団を希望するメッシと引き留めたいバルセロナの間で事態は膠着しているが、クラブ側がダメージを受けるのは避けられない。しかも世界屈指の人気を築いた名門クラブの資産価値が〝暴落〟の危機にあるという。

 メッシの退団を巡る騒動は世界中から注目の的だが、窮地に追い込まれるのはバルセロナのほうかもしれない。「もしメッシがいなくなれば、バルサの損失は計り知れない。誰もが知っているスターの存在がスポンサーの巨額な投資のモチベーションになっていた部分も大きいし、メッシがいないバルサの〝顔〟は誰なのかということになる。ケンカ別れの形になれば、クラブのイメージダウンも非常に大きい」と大手広告代理店関係者は指摘する。

 バルセロナは昨年ナイキと10年約1400億円でユニホーム契約、2017年から楽天と4年総額260億円のオフィシャルグローバルスポンサー契約を結ぶなど世界中の企業と巨額契約を交わしている。クラブが長年築いてきた伝統によるところもあるが、近年の〝バルサバブル〟を支えてきたのは間違いなくメッシだ。

 世界最優秀選手賞「バロンドール」を史上最多の6度受賞。数々の大記録を打ち立ててきたスーパースターは、その人気がサッカー界にとどまらず現役最高のアスリートとして常にスポットライトを浴びている。それだけ数多くのファンを魅了するからこそ、大企業が巨費を投じてきたのだ。

 そんな大エースがいなくなれば「資産価値が大幅にダウンしてもおかしくない」(前出関係者)。米誌「フォーブス」が発表した最新のスポーツチームの資産価値ランキングで、バルセロナは全体8位、サッカーチームではライバルのレアル・マドリード(スペイン)に次ぐ2位の40億2000万ドル(約4280億円)と算定されている。だがメッシを失えば少なくとも10%前後の下落が予想されており、そうなれば約400億円にあたるクラブ価値を失うことになるのだ。

 さらにメッシはジョゼップ・バルトメウ会長(57)をはじめとした現体制との確執も取りざたされており、クラブへの批判が高まれば名門の看板に傷がつくことは確実。すでに本拠地カンプノウ周辺では抗議デモも起きており、一連の騒動が長引けばイメージダウンにより資産価値の下落幅はさらに大きくなる。

 このままメッシとケンカ別れなら、名門凋落の始まりとなりそうだ。