“日本の至宝”の去就問題が再びクローズアップされている。スペイン1部の強豪レアル・マドリードからレンタル移籍し、同1部マジョルカでプレーする日本代表MF久保建英(18)が、シーズン終盤戦に入って好プレーを見せ始めた。サブ降格から立ち直り、地元メディアの評価も高まってきたが、待望される“本家”への復帰は厳しい見通しだ。

 久保はスペイン1部リーグで2部降格圏の18位に低迷するマジョルカでようやく本領を発揮してきた。7日のエイバル戦では待望の今季3ゴール目を決めるなどハイパフォーマンスを披露。その矢先に新型コロナウイルスの影響でリーグ戦が中断となったが、地元では来季の去就が再び話題となっている。

 本来なら1年の“武者修行”を経てRマドリードに出戻り、世界トップ選手らとともにポジション争いを繰り広げるのが、理想的なビジョンだろう。ただ下位に沈むマジョルカで試合に出られない時期があったことに加えて、ここまで3得点では明らかに物足りない。地元紙「マルカ」も1月に久保について「課題は得点力。もう1年はレンタルに出される」との分析記事を掲載したほどだ。

 さらに、ピッチ外のチーム事情も久保の“復帰”を阻害する。地元メディアによると、Rマドリードのウェールズ代表FWガレス・ベイル(30)が、英国の欧州連合(EU)離脱に伴って外国人選手扱いになる可能性があるという。2020年末までに英国とEUが市民権について合意ができなければ、これまでEU圏内だった選手登録の区分が変わることになる。

 スペインでは外国人選手枠は「3」となっており、Rマドリードはフル活用中。ブラジル人のFWビニシウス(19)が21年中にもスペインの市民権を取得するとの報道も出ているが、FWロドリゴ(19)、DFエデル・ミリトン(22)に加え、2月に獲得したばかりでBチーム登録のMFヘイニエル(18)が外国人枠に該当する。その上で“移籍金100億円男”のベイルがEU圏外となれば、枠の見直しは必至。当然ながら下位クラブでも活躍できない外国人の久保をトップチームに登録するプランはない。つまり来季のRマドリード入りは絶望的な状況というわけだ。

 来季に向けては、久保と同じように同1部レアル・ソシエダードにレンタル移籍したノルウェー代表の神童、MFマルティン・ウーデゴール(21)の“本籍地”復帰が確実。久保はそのRソシエダードへのレンタル移籍が報じられており、他にもドイツやフランス移籍が浮上する。残り2か月となったシーズンの再開の行方とともに、日本の至宝がどうなるのか気になるところだ。