“日本サッカー界の至宝”が苦境に立たされている。スペイン1部マジョルカの日本代表MF久保建英(18)はサブに降格し、リーグ4戦連続でスタメン落ち。チームも2部降格圏の18位に沈むなど、今夏の東京五輪を前に窮地に追い込まれた。かつて“マジョルカの救世主”と呼ばれた元日本代表FW大久保嘉人(37=J2東京V)は「ヒーローになるチャンス」と緊急提言したが、一体どういうことか。

 昨夏にスペイン1部の名門レアル・マドリード入りした久保は“日本の至宝”と呼ぶにふさわしい存在だったが、にわかに雲行きが怪しくなってきた。

 今季にレンタル移籍したマジョルカを舞台に昨年11月10日のビリャレアル戦で挙げた1ゴールのみ。直近リーグでは4戦連続スタメン落ちと、ベンチ要員へ格下げとなってしまった。出場時間の減少はコンディション維持を困難にし、東京五輪に向けたU―23日本代表の活動にも影響が出かねない。本番まで調子の上がらない状態が続けば目標とするメダル獲得も遠くなるばかりだ。

 だからこそスタメン復帰は急務だ。そこで2017年にJ1FC東京でともにプレーし、マジョルカにも所属した大久保は「とにかく得点でしょ。あっちはやっぱりゴールで評価が一気に変わるから」と力説。数字に表れない好プレーより、どんな形であれ目に見える結果を残すのが先決という。しかも2部降格ピンチの状況は逆に評価を上げやすいとし「残留につながる活躍をすれば(地元で)英雄になるから」と説明した。

 大久保はシーズン途中にマジョルカ入りした05年に好プレーを連発。2部降格の危機に陥ったチームを奇跡の残留へと導き、サポーターからは「救世主」と呼ばれた。その再現を後輩に期待しているわけだ。もちろん、久保の実力を認めているからこそのアドバイス。かねて「建英はすごくいいものを持っている。若いのに落ち着いているし、テクニックもある」と高く評価していたように今後の再浮上を期待している。

 久保も、ベテランストライカーの存在を意識し、スペインリーグ公式ツイッターのインタビューで「大久保選手とチームメートだったので『スペインリーグは、とても困難な舞台だけど最高の経験だった』と語ってくれた」とコメント。まさに聞いた通りの難しさに直面しているところだが、今季終了までのマジョルカ生活を“最高の経験”にすることができるか。