【英国・リバプール5日(日本時間6日)発】若きサムライがついに世界最強クラブの一員としてデビューを果たした。イングランド・プレミアリーグのリバプールに加入した日本代表MF南野拓実(24)がホームで行われたエバートンとのイングランド協会(FA)カップ3回戦でいきなり先発出場。好機を生かせず無得点に終わったが、精力的な動きでチームに勢いをもたらし、メガクラブでの大きな一歩をしるした。

 世界最古のカップ戦、しかも相手は同じくリバプール市に本拠を置くエバートンとの“マージーサイド・ダービー”。歴史と伝統のある一戦で、サポーターによる「You’ll Never Walk Alone」の大合唱を背に、南野は本拠地アンフィールドで先発のピッチに立った。

 名将ユルゲン・クロップ監督(52)は連戦による疲労や故障者を考慮し、若手主体のメンバーを選択した。大エースのエジプト代表FWモハメド・サラー(27)やセネガル代表FWサディオ・マネ(27)ら主力はベンチからも外して温存。その中で新加入の背番号18を3トップの中央に配置した。普段はブラジル代表FWロベルト・フィルミノ(28)が担い、運動量が要求されるポジションだ。

 一方のエバートンはFWセオ・ウォルコット(30)らイングランド代表でも活躍する主力がズラリ。そんな中でも南野は臆することなくプレーした。最前線に張るだけではなく、中盤まで下がってボールをもらい、果敢にドリブルで仕掛けた。前半34分には左クロスに頭で合わせようとしたが、ミートできず。この日、自身の最大のチャンスを逃し、後半25分にベンチに下がった。

 南野にとって痛かったのは前半9分、先発メンバーで最も経験のあるMFジェームズ・ミルナー(34)の負傷交代。これでチームの統一感が薄れ、若手選手たちのアピール合戦になってしまった。それでも南野は自身の武器の俊敏性や献身性を遺憾なく発揮し、交代時にはクロップ監督と抱擁して、ねぎらわれた。

 試合は南野と交代した主力級のMFアレックス・オクスレイドチェンバレン(26)が流れを変え、後半26分にMFカーティス・ジョーンズ(18)のミドル弾で勝利。差を見せつけられた格好になったが、クロップ監督は「スーパーな選手で、まさにわれわれが望んでいた選手だ。まだ2回しか一緒に練習をやっていない中で、理解力や技術を見せてくれた。サッカーへの姿勢も素晴らしい。私はとても気に入ったよ」と南野への賛辞を惜しまなかった。

 華々しいとは言えなくても、名門クラブで上々のデビュー。今後は主力との競演も期待できる内容で前途は明るそうだ。