“日本の至宝”が苦境を乗り越えるカギとは――。スペイン1部マジョルカの日本代表MF久保建英(18)はアウェーで0―1と敗れたレガネス戦(26日=日本時間27日)に後半14分から出場。決定機をつくれず無得点に終わり、アピールできなかった。今後のスタメン奪取に向けて“鬼軍曹”のビセンテ・モレノ監督(45)から信頼を得るためには、重要なポイントがある。

 世界ナンバーワンの名門レアル・マドリードからレンタル移籍でマジョルカに加入した久保の才能には、ピッチ内外で大きな期待が寄せられている。

 しかし、ここまで8試合出場(先発2試合)も途中投入が多く、レギュラー奪取には至っていない。特にスパルタ指導で知られるモレノ監督は、新戦力の久保について「良いものは持っているが、現時点ではそれだけだ」などと辛口評ばかりで、普段から厳しい態度で接している。

 指揮官に認められるためには、どうすればいいのか。2016年にスペイン2部(現3部)タラゴナを指揮したモレノ監督のもとでプレー経験のある元日本代表DF鈴木大輔(29=浦和)は、パフォーマンス以外にも必要な資質があると指摘する。「規律には厳しいし、選手たちには積極的に発言を求める。どちらかというとモチベーターな監督なので、団結力、チーム力を求める。だから選手から意見をしっかり出してほしいというタイプなので、そこは僕も頑張った」

 熱血漢のモレノ監督は選手との密なコミュニケーションを通じて関係を深めていく手法を取るタイプ。ピッチ上はもちろん、ミーティングなどでも臆することなく自らの意見やアイデア、考え方を発信できる選手を重用する傾向があり、鈴木も「最初は言葉も分からなかったから学びながら…」と苦労したという。

 久保はリーグ開幕後の加入でシーズン前のキャンプにも参加していない。チーム最年少でもあるだけに、なかなか難しい面もあるが、レギュラー獲得のためには指揮官への“プレゼン”は避けて通れないところ。幸いスペイン1部バルセロナの下部組織出身のため、スペイン語は堪能。あとは久保の意識次第だろう。

 そして一度、関係を築き上げれば、その信頼を重視するのが“モレノ流”だ。鈴木は「ひと言でいうと人格者。向こう(欧州)の監督は(日本人を含めたアジア人に)偏見などある指導者もいるけど、それもない。自分は本当に手厚くサポートしてもらった。スペインに行ったときの最初の監督でよかった」。

 スパルタ指揮官との関係構築こそが、久保にとって飛躍の大きなきっかけになるかもしれない。