香川 スペイン2部・サラゴサ移籍を決断させた男

2019年08月14日 16時30分

 スペイン2部サラゴサに移籍した元日本代表MF香川真司(30)が13日、サラゴサ市内で入団会見を行った。香川は憧れだったスペインのクラブで2022年カタールW杯を目指すと宣言。新天地での復活へ意欲をみなぎらせた。他国も含め1部リーグのクラブから声がかかる中であえて2部移籍を選択したが、異例の決断のウラには、知る人ぞ知る名将の存在があった。


 大胆にイメチェンした香川は丸刈りに近い髪形で会見に登場。「加入できてとてもうれしい。ここで最高の挑戦をしたい。自分の全てを出してやりたい」と強い意気込みを見せ「モチベーション、気持ちが大事。2部だけど、全てを楽しんで必ず昇格させたい」と来季の1部昇格という目標を掲げた。

 香川は2010年にドイツ1部ドルトムントへ移籍したのを皮切りに、イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドやトルコ1部ベシクタシュと欧州では常に1部の強豪クラブでプレーしてきた。「正直たくさん悩んだ」と語ったように2部クラブへの移籍には葛藤もあった。

 そんな心境で決断を後押ししたのは、日本代表で完全復活するため試合出場を優先したこと(本紙既報)に加え、ビクトル・フェルナンデス監督(58)の存在が大きい。「監督の目指しているサッカーを聞いて、素晴らしいビジョンがあると感じた」と指揮官のスタイルに共感したことを明かした。

 フェルナンデス監督はサラゴサのほか、ベティスやセルタ、デポルティボなどスペインの名門で監督を歴任。04年には欧州王者だったポルトガル1部ポルトを率いて、トヨタカップで優勝するなど国際舞台でも実績を残してきた。

 そんな指揮官の“売り”は超攻撃的サッカー。その手腕にはスペイン国内でも信奉者が多い。選手の個性を伸ばす指導力にも定評があり、15年からはレアル・マドリードの下部組織で育成責任者も務めた経験を持つ。

 香川に近い関係者によると「あの監督の指導を受けられるということが大きい」と移籍決断の主な要因の一つだったという。加えて「監督のもとで実力を見せられれば他のクラブへのアピールにもなる」との見解も示した。

 香川はこれまでスペインでプレー経験がなく、30歳という年齢もネックになって今夏の移籍先探しでは苦労した。だがスペイン国内で有名な名将から“お墨付き”をもらえれば、今後を見据える上で大きなプラスになる。スカウトら関係者の間で“口コミ”が広まることで、有力クラブへのステップアップも見えてくるわけだ。

 香川も会見で「長期的なプランとしてみた中で、サラゴサというチームが自分にとってベストな場所だと計算した」と語っており、まさに深謀遠慮の移籍劇。完全復活の舞台は整った。