マラガ岡崎慎司 点取り屋の本能を取り戻せ!

2019年08月09日 11時00分

岡崎はストライカーに原点回帰する(ロイター)

【西川結城のアドバンテージ】日本代表FW岡崎慎司(33)が、2015年6月からプレーしたイングランドを離れ、新天地にスペインを選んだ。2部に所属するマラガと1年契約。イベリア半島南部にあるクラブは、ここ2シーズンは下部に沈んでいるものの、長く1部で存在感を示してきた中堅クラブ。現在オーナーを巡るクラブの経営問題の余波を受けて岡崎の選手登録に時間を要している事態は少々心配だが、無事スペインのピッチで躍動する姿に期待する。

 自他ともに認める得意プレーはダイビングヘッド。体ごとボールをゴールに押し込む泥くささに、FWながらも献身的な守備でチームに貢献する。汗水垂らして全力疾走する姿が印象的だ。大型化が進むサッカーシーン。身長174センチの岡崎は、元来は最前線でゴールを狙うストライカーだったが、国際舞台では常に自らの理想と直面する現実の間で揺らいできた。

 日本人らしい俊敏性や献身性を買われ、ドイツ時代はサイドでも起用された。世界最高峰イングランド・プレミアリーグのレスターではFWで出場するも相手ボールに圧力をかける守備的なプレーを主とする役割を与えられた。イングランド代表ストライカーのFWジェイミー・バーディーと2トップを組みリーグ優勝に貢献したが、彼が純粋に持つ点取り屋としての気概や感情は、結局レスターでは最後まで満たされなかった。

 思えば、日本代表でも本来望む最前線でプレーできた機会は意外と少ない。出場した3度のW杯では完全にエースの座で戦ったことはなかった。心身ともに全力をチームにささげるプレーは最大の魅力。ただ、それがある意味ストライカーとして生きたい自分の、足かせとなることもあった。

 昨年のロシアW杯が終わり、数か月後。ロンドンで岡崎と会う機会があった。共通の知人を介した場で、リラックスした表情で話をしていた。その時点ですでに「プレミアでのプレーももう長くはないかもしれない」と口にした。それは挑戦の終わりではなく、むしろもう一度FWとしての本能を取り戻すための、理想の道を突き進む意欲の表れでもあった。

「まだまだヨーロッパでプレーし続けたい。知らない国やリーグもある。そこで、もう一回ゴールを純粋に目指すことに挑戦する。それがここから僕が望むことですね」

 理想と現実のループを彼は何周も巡ってきた。そして最終的に行き着く先も己が一番知っている。情熱の国でゴールに歓喜する、岡崎が見たい。

☆にしかわ・ゆうき=1981年生まれ。明治大卒。専門紙「EL GOLAZO」で名古屋を中心に本田圭佑らを取材。雑誌「Number」(文藝春秋)などに寄稿し、主な著書に「日本サッカー 頂点への道」(さくら舎)がある。