世界で評価急上昇――。スペイン1部レアル・マドリードの日本代表MF久保建英(18)は20日(日本時間21日)、米テキサス州ヒューストンで行われた国際親善大会「インターナショナルチャンピオンズカップ」のドイツ1部バイエルン・ミュンヘン戦で実戦デビューした。後半開始から出場し、好機を演出して好パフォーマンスを披露。トップ昇格を猛アピールしたが、その裏では久保を巡って日本とスペインなど外国勢との“綱引き”も始まっている。

 圧巻だった。26番を背負って後半開始からピッチに入ると、切れのある動きで何度もチャンスをつくり出した。17分には敵陣中央でパスを受けると、ブラジル人FWビニシウス(19)にスルーパス。得点にこそつながらなかったものの、その後も高い技術力や視野の広さ、当たり負けしないフィジカルなど、十分な存在感を見せつけた。

 試合は1―3の敗戦もデビューを果たした久保は「試合前は雰囲気を感じて。ピッチに立ったらやるしかないので、自分にできることはやったかな」と充実感を漂わせつつ「1試合やって感触はつかめたので、もっと積極的にアピールしていければいい」と話し、世界最高クラブでも戦える手応えをつかんだ。

 初実戦となった久保のプレーについて、スペイン紙「マルカ」は「素晴らしい動きを見せ、勇敢で堂々としていた。中でも左足が光った」と大絶賛。その上で久保が今季はRマドリードBでプレーする予定には「3部の舞台では非常に小さすぎる。彼はクラッキ(名手)だ」「マドリードの傑作になる可能性もある」などと報じた。

 スペインでも久保のトップ昇格を望む声が高まっており、注目度は大幅アップしている。すでにピッチ外では、来夏に東京五輪を控える日本企業が久保をテレビCMに起用しようと検討するが、Rマドリードでも存在感を発揮したことで、スペインなど海外企業との“久保争奪戦”に発展しているという。

 大手広告代理店の関係者は「時計メーカーやアパレルなど大手企業が動きだしているが、日本だけでなく海外の企業も久保選手に強い関心を持っている」と指摘する。広告業界ではスポンサー契約について1業種1社が原則。時計メーカーやアパレル以外にも、航空会社、金融、飲料などの分野で日本企業と海外企業が久保に熱視線を注いでいる。

 中でもRマドリードのメイン(ゼッケン)スポンサーでもあるエミレーツ航空は広告塔として久保に興味津々で、日本の航空各社との大バトルが勃発しそうな雲行きという。また「久保はまだ免許はないが、自動車業界でも引く手あまたになりそうだ」(同関係者)と言うように、他業種を含め、すでにワールドクラスの人気を誇っている。

 スペインでは早くも地元企業のテレビCMに起用されることが内定したという。同関係者は「本拠地マドリードでも久保選手に対する関心が高い証拠」。まずはトップ昇格が最大目標となるが、久保の需要は高まっており、ピッチ内外で大フィーバーを巻き起こしそうだ。