【イングランド・マンチェスター発】サッカーの欧州チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝第2戦が17日(日本時間18日)に行われ、トットナムがマンチェスター・シティーとのイングランド対決で3―4と敗れて2戦合計4―4となったが、アウェーゴール数で上回り準々決勝進出を決めた。
 
 韓国代表FW孫興民(26)がCLにおけるアジア人最多得点記録を更新する2得点をマークし、クラブ史上初の4強入りの快挙に貢献。歴史に残る死闘を終えて、最後に笑ったのはトットナムだった。勝敗を分けたのはアウェーゴール数。4強入りの原動力となったのは、アジア最強ストライカーと呼ばれる孫だった。

 開始4分に先制を許して初戦のアドバンテージが消えたが、3分後に同点ゴール。ゴール前のパス回しから、最後は相手に当たったルーズボールを右足ダイレクトで合わせてゴールネットを揺らした。さらに10分にはショートカウンターからペナルティーエリア左でパスを受けた孫が豪快な右足シュートを突き刺して逆転に成功した。

 その後、21分までに2点を追加され、41分には守備的MFシソコが負傷退場。ボランチを本職とする交代要員がおらず、FWリョレンテを投入する苦肉の策に出た。その影響は大きく、後半14分に失点し、2戦合計3―4のピンチ。だが28分、左CKをゴール前のリョレンテが腰で押し込んで再びアドバンテージを握ると、最後までマンCの猛攻をしのぎきった。

 ホームでの第1戦で先勝したとはいえ、下馬評は「トットナム不利」だった。ロシアW杯得点王のイングランド代表FWハリー・ケイン(25)が第1戦で負傷し、今季絶望。それでも、第1戦で決勝点を挙げた孫が1トップに入り、大エースの穴を埋めて余りある活躍を見せた。

 孫にとってCLでの活躍は使命だった。チームの主力としての責任感から、1月のアジアカップの韓国代表への合流を遅らせたが、結果は裏目。体調不良で満足なプレーができず、代表は8強で敗退した。それでも、クラブに戻るとサポーターは温かく迎えてくれた。リーグ優勝の可能性がなくなり、残された大舞台はCLだけ。そしてこの日の2ゴールでCL通算12得点をマークし、元ウズベキスタン代表FWシャツキフが持つアジア人最多ゴール記録(11点)を更新。サポーターに最高の恩返しを果たした。

 トットナムは前身大会(欧州チャンピオンズカップ)の1961―62年に準決勝進出しているが、現行のCLでは初の4強。「荒くれもの」の意味を持つ「スパーズ」の快進撃はまだ続く。