J1第1ステージ最終節が25日、各地で行われ、鹿島が福岡戦(カシマ)に2―0で勝利して優勝を飾った。

 手倉森ジャパンの“闘将”が魂の堅守でチームをVへと導いた。勝てば第1ステージ優勝が決まる大一番にセンターバックとして先発したDF植田直通(21)は、この日も持ち前のフィジカルと空中戦の強さを存分に発揮。前節の川崎戦で2ゴールを挙げるなど絶好調のFW金森健志(22)やブラジル人FWウェリントン(28)と何度も対峙したが、ことごとく抑え込み、チームを最終ラインから支えた。

 植田を中心とした守備陣の安定がリズムをつくり、前半27分に右CKからDF山本脩斗(31)のヘッドで先制、さらに同37分にはFW土居聖真(24)が右足で追加点。試合を決定づけた。

 第1ステージ制覇の立役者となった植田にとっては、4月の熊本地震で被災した故郷にささげる優勝だ。宇土市出身の植田は地震発生からわずか3日後に被災地へ向かい、支援活動を実施。優勝争いを繰り広げる中、強行軍で故郷のために行動を起こした。

「熊本の皆さんは非常に苦しんでいるのに応援してくれている。逆に元気をもらった。改めてサッカーができる幸せを感じた」と植田は涙ながらに語っており、自身に勇気をくれた故郷に優勝で恩返しを果たそうと固く誓ったのだ。

 そんな熱い思いを前面に出す魂のこもったプレーで大一番を制した植田。今度は選出確実のリオデジャネイロ五輪で日本に元気を与えてくれそうだ。