〝日本の至宝〟MF久保建英(21=マジョルカ)とレジェンドMF中村俊輔(43=横浜FC)の知られざる〝共通点〟とは――。森保ジャパンは10日の国際親善試合ガーナ戦(ノエスタ)で4―1と圧勝し、久保は待望のA代表初得点をマークした。代表17試合目で訪れた歓喜の瞬間に、元日本代表MFの石川直宏FC東京クラブコミュニケーター(41)が、久保の「原点」を振り返りつつ秘話を明かした。

 日本中が待ち望んだ瞬間がついに訪れた。3月のW杯アジア最終予選ベトナム戦以来の先発となった久保は、インサイドハーフで日本の攻撃をけん引。そして2―1で迎えた後半28分、MF三笘薫(サンジロワーズ)が左サイドを突破してゴール前へ送ったラストパスに絶妙のタイミングで走り込み、得意の左足で豪快に蹴り込んで試合を決定づけるゴールを奪った。久保にとって代表17試合目にしてうれしい初ゴールだった。4日に21歳を迎えた後の出場初戦で決めた。

 久保はDF山根視来(川崎)が決めた先制点を起点となるパスで演出するなど、フル出場で勝利に大きく貢献。11月開幕のカタールW杯に向けてアピールに成功した。

 A代表デビューから3年かかった初ゴールに「いや~、長かったです。もうこのまま一生入らないんじゃないかと思ったこともあった」と苦しみ抜いた胸の内を吐露。大きな注目を集めた6日の王国ブラジル戦は出番なしに終わり「正直めちゃくちゃきつかった。オレが出たらもっとやれてたと思ったし。だけどそれはもう、試合に出ていない僕が言っても負け惜しみなので。練習はめちゃくちゃ気合が入っていた」と屈辱をバネに結果を出した。

 至宝の初ゴールに森保一監督も「日本のサッカーファンもタケの成長には大きな期待がある。皆さんをハッピーにさせるように成長してほしい」とさらなる進化を求めた。代表のレギュラー奪取へ大きな一歩を記した久保を支えるのが、栄光の10番を背負って長年日本代表を支えた俊輔と共通する〝ルーティン〟だ。

 ともにかつての同僚にあたり2人をよく知る石川氏はこう語る。「タケと一緒にグラウンドで練習していた時に印象的だったのは、終わった後に一人でよくグラウンドに残って、芝生の上に座って、ボールを触りながら何かをイメージしていた。自分と向き合っている時間を大切にしていた」。その〝瞑想タイム〟は久保にとって大切なもので「試合に出られなかったり(課題の)守備面などで消化しきれていない時に、そうして取り組んでいた」という。

 久保のそうした姿は「俊さんとかぶった。俊さんもうまくいっていない時に、自分の感覚などを大切にしてボールを触りながらグラウンドの上のいろんな場所に行ったり来たりしながらやっていた」と指摘。くしくも同じ習慣でサッカーと向き合っていたのだ。

 さらに「僕も、はた目に見ていたが、いろんなことを考えながら、自分の感覚やチームの状態を考えながら見ているんじゃないかなと。その姿が重なった」。天才と言われる2人だけが見える〝世界〟がそこには広がっているのだろう。

 至宝は俊輔と同じ代表エースの道をたどっていくのか。初ゴールをさらなる飛躍のきっかけにしたいところだ。