【取材の裏側 現場ノート】カタールW杯(11月開幕)の出場権を獲得した日本代表は、7大会連続7度目の本戦に向けた強化の一環として6月に4試合を控えている。特に同6日に行われる国際サッカー連盟(FIFA)ランキング1位のブラジルとの一戦(国立)は、スペイン、ドイツと1次リーグ同組となった本番の試金石になりそうだ。

 そういった試合の結果は最も重要な要素だろうが、プロサッカーが興行であることを踏まえると、勝ち負けとは別に選手自体が注目されてナンボという側面もあるだろう。つまり実力と話題性を備えた選手が日本代表にいるか、いないかも大事になり得る。近年ではMF本田圭佑(35)が、その2つの要素を持っていたと考えている。ピッチ上のパフォーマンスもさることながら、W杯優勝をぶち上げるなど発言力で注目される選手でもあった。

 タイプこそ違えど、過去の日本代表にも特長的な選手がいたが、森保ジャパンを見渡すと、それぞれのプレーぶりには素晴らしいものがある一方で、発信力を含めて個性の光る選手が思い浮かばない。「個性」という言葉には人それぞれの解釈はあるが、昨季限りで現役を引退した元日本代表FW大久保嘉人氏に話を聞く機会があったときに、〝現日本代表〟について、こんなことを口にしていた。

「今の選手はみんなうまいと思うし、期待もしている。ただ、今の時代はそうじゃないのかもしれないけど、個性がないような気がする。もっと自分を出していっていいんじゃないかなと」。大久保氏も本田とはまた違った個性の持ち主で、特にピッチ上で自分を出していくタイプだった。時には批判を浴びる言動もあったが、それすらも力に変えていた。それだけに、おとなしく見える最近の選手には物足りなさを感じているようだ。

 サッカーの〝うまさ〟で言えば、代表選手のレベルが右肩上がりなのは間違いない。日本代表には、それだけじゃない部分でもファンを魅了してほしい。

(サッカー担当・森下久)