躍進への〝切り札〟となるか――。カタールW杯アジア最終予選オーストラリア戦(24日、シドニー)で森保ジャパンはMF三笘薫(24=サンジロワーズ)の2ゴールで2―0と快勝し、7大会連続のW杯出場を決めた。無事に本大会への切符を手にしたが、最終予選では苦戦を強いられたのも事実。そこで大舞台でチームを支えるラストピースとして〝あの男〟を待望する声が上がっている。

 今回の最終予選では開幕から3戦で早々に2敗を喫し、崖っぷちに追い込まれた。猛バッシングを受け、森保一監督の解任論も浮上するなど荒波続き。そんな苦難がよぎったのか、指揮官は試合直後のインタビューで開口一番「苦しい戦いばかりでしたけど…」。目を真っ赤にして涙を浮かべながら「われわれ日本代表を支えてくれたすべての方々と、このW杯出場という勝利をつかみ取れた」と喜びの言葉を絞り出した。

 W杯出場という責任は果たしたが、もちろん本当の戦いはこれから。森保監督は本大会で「8強以上」を目標に掲げている。それを実現するために、W杯で無類の強さを発揮してきた元エースの〝招集〟を熱望する声が上がっている。日本サッカー協会で技術委員の経験もある関係者は「MF本田(圭佑=35)を帯同してもいいのではないか。メンバーではなく、練習パートナーやコーチの補佐役のような形でも。チームの中にあれだけの存在がいれば大きいし、いろいろな形で貢献するのではないか」と指摘する。

 森保監督は以前から代表を引退した現役選手を活動に招聘するプランを温めており「MF長谷部(誠=Eフランクフルト)も本田もそうだけど、代表を引退した選手にいろんなことを伝えてもらいたい。練習を一緒にやってもらい、オフザピッチの場でも何か話して、選手に近い、あるいは同じ目線でしゃべれる、経験のある選手が伝えることで若い選手たちに響くことも多い。ぜひお願いしたい」と語っているほど。実現すれば、最高峰の舞台で強力な援軍になる。

 特に本田は3大会連続でW杯に出場し、日本人最多の4ゴールを記録するなど抜群の勝負強さを誇る。身近にカリスマがいれば選手にとっても心強いはずだ。

 2010年南アフリカW杯ではイングランド代表でMFデービッド・ベッカムが負傷で出場はできなかったが、チームに同行してコーチ役として選手をサポートした。現在、実質的なカンボジア代表監督も務め、指導経験も積んでおり、同じような役割が本田にはピッタリだ。

 元日本代表FW武田修宏氏(本紙評論家)も「経験のある選手がチームにいると全く違う。選手の士気も上がるし、コーチは多いほどいい。ポイチ(森保監督)も、その観点で考えているだろうし、そういうのも大事」と本田効果に期待する。

 森保監督はW杯に向けて「世界に追いつき、追い越すためにどうしたらいいか考えていきたい」と語ったが、その視線の先に本田のサプライズ招集があるのか注目が集まる。