逆風が吹き荒れる日韓戦の〝強行開催〟を後押ししたのは「日本政府から与えられる特権」にあると韓国メディアが報じた。

 森保ジャパンが韓国代表と対戦する国際親善試合(日産)が25日に行われるが、韓国の世論では新型コロナ禍での日本遠征への反対意見が噴出。韓国大統領府に日韓戦の中止を要求する「国民請願」が出されて賛成者が日に日に増えており〝日韓戦反対ムード〟が高まっている。

 そうした中で韓国メディア「OSEN」は「10年ぶりに開催される韓日戦のために、日本政府が動いた」と報じ、韓国側が日本からの提案を受け入れた決め手を指摘。「日本は現在、自己隔離などの複雑な手続きがある。しかし韓日戦では東京五輪の準備トラックを使用する可能性が高い」。日本サッカー協会が政府に対して要望しているアスリート用東京オリパラ準備トラック(通称アスリートトラック)が適用される見通しが立ったことが遠征実施の決断を後押ししたと分析した。

「このガイドラインの対象者は、日本へ入国時に72時間以内に受けた陰性証明書または入国後の検査を介して陰性であることが確認されると、競技場や練習場と宿泊施設に限って2週間滞在することができる。つまり、隔離が免除される〝特権〟である」と同メディアは説明。このスポーツ入国特例は緊急事態宣言に入って停止されていたが、日韓戦を皮切りに再開される公算が高い。日本政府や日本サッカー協会による懸命な努力に韓国側が応じたというわけだ。

 一方で、韓国メディア「スポーツ傾向」は「韓日戦が東京五輪の開催に死力を尽くす日本側の狙いで悪用されることがないかという見方もある。(試合日の)25日は東京五輪の聖火リレーが始まる日でもある」と報じるなど韓国内における日本側への不信感が根強いのも確か。まだまだひと悶着ありそうだ。